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静かに、ねぇ、静かに (講談社文庫 も 48-7)

静かに、ねぇ、静かに (講談社文庫 も 48-7)

静かに、ねぇ、静かに (講談社文庫 も 48-7)

作家
本谷有希子
出版社
講談社
発売日
2020-10-15
ISBN
9784065212387
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静かに、ねぇ、静かに (講談社文庫 も 48-7) / 感想・レビュー

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スマホ依存がテーマの3作。読了後すぐの感想は、何なんこの話⁉でした。『本当の旅』が一番怖く、引っ張らずに途中で終わることで結末も読めるけど終わってくれてむしろほっとしました。ホテルで同行者と話さずにSNSに夢中とか、旅先で料理の美味いまずい関係なく撮影とかリアルだと思いました。『奥さん〜』は、キャンピングカーの旅に乗り気じゃない主人公の立場が結構わかりました。買い物依存症怖い。『でぶの〜』はタイトルと主人公の呼ばれ方がインパクトあり。抜歯の恐怖が文面から伝わり、安易に抜歯するのはよそうと肝に銘じました。

2022/01/05

鍵ちゃん

海外旅行でインスタにアップする写真で本当を実感する僕たち、ネットショッピング依存症から抜け出せず夫に携帯を取り上げられた妻、自分たちだけの印を世間に見せるために動画撮影をする夫婦。ネットに頼り、翻弄され、救われる私たちの空騒ぎ。3篇からなる短編集。どれも胸くそ悪い話であるが、「本当の旅亅は間抜けな分まだ面白かった。この世の中、SNSやネットが盛んになる事が人として存在が軽くなり、大事な事を忘れそうな感じがするね。

2022/03/11

煮豆

異類婚姻譚以来の本谷有希子さん。「本当の旅」「奥さん、犬は大丈夫だよね?」「でぶのハッピーバースデー」の三遍を収録した短編集。全てにおいて嫌な気持ちになる要素がたっぷり。みんな狂っている。SNSの発達により便利になった。が、本来の暮らしがメインのはずなのに映えることを第一に考えるようになって、狂わされている面もある。「本当の旅」のリアルで起きていることを見て見ぬふりしたり、良い方向に思い込もうとする感覚にゾワゾワした。気持ち悪い世界が繰り広げられている三遍だった。

2023/02/08

ちぇけら

タイムラインという激流に投じた写真に灯されるちいさなLOVEを求めてスマホのシャッター音が街じゅうに鳴り響く。盛れる写真を撮るために必死な奴らを横目に、実はぼくもインカメに映る自分を見ながら表情と角度を調整していたりする。#ファインダー越しの世界。そこには普段目にする空や雲。「自分にしか見えない世界」があるなんて素敵ですねという皮肉を込めて押すイイネも、きっと彼の自己肯定感を助長する。たくさんのイイネがついたコンテンツで「自分」を縁取るあなたたち、イイネが増えたからって自分が世界に必要とされているとでも?

2021/01/16

TSUBASA

気の置けない仲間三人で行くマレーシアの旅。いい写真を撮って共有し、いいねという肯定を渇望する彼らが踏み外した先『本当の旅』ほか2作の短編。自らの生きにくさや不和の逃げ場をネットに求めた人々の狂騒とでも言おうか。『奥さん、犬は大丈夫だよね?』『でぶのハッピーバースデー』もキャッチーではあるけど、前述の『本当の旅』が秀逸かな。彼らにとっては不愉快や悪意に晒された目の前の状況よりも、「いいね」や「ウケる」で満たされたSNSの世界こそが現実なんだろうという現代の病への痛烈な皮肉が冴える。

2022/10/20

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