海獣・呼ぶ植物・夢の死体 初期幻視小説集 (講談社文芸文庫 しL 4)
海獣・呼ぶ植物・夢の死体 初期幻視小説集 (講談社文芸文庫 しL 4) / 感想・レビュー
stan
著者最初の長編『皇帝』以後の初期短編集。どこか社会に違和感を覚えている主人公(おそらくは女性であることへの抑圧を感じている)が身体的な不調を感じながらも、夢・妄想が入り混じった様々なイメージを「幻視」する様が執拗に描かれている。妄想の中で様々なものを切り刻むことで社会と対峙しようとする『柘榴の底』では、特にぶっ飛んだ描写が凄まじい。最後に出てくるモチ(切っても切れない!)も、決して拭い去ることができない違和感を象徴するようで秀逸。
2021/01/25
読書メーターJr.
目には目を、異常には異常を。現実が狂っていると思っているから、狂うことで抵抗している。現実逃避としての妄想。少し前の自分を見ているみたい。昔「人と一切関わらず自分の世界に閉じこもったらどうなるかやってみようかな」と思ってたけれどやる必要なかった。その結果がほとんどこの本に書かれている。言葉に対する独自の感覚を突き詰めた人の思考や日常の至るところにモチが現れるカオスを楽しめた。最後にひとことメモ。使徒おかあさん男。
2023/04/12
今野ぽた
読んでいる間、本当に夢と現実の境が分からなくなってきて怖くなったので急いで読み終えた
2020/11/20
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