ガザ、西岸地区、アンマン 「国境なき医師団」を見に行く
ガザ、西岸地区、アンマン 「国境なき医師団」を見に行く / 感想・レビュー
いーたん
いとうせいこうさんが国境なき医師団関連の本を出すのは3冊めだという。みうらじゅんさんとの見仏記と戦場の医療現場がわたしの中でつながらなかったが、一酸化炭素中毒で危うく死にかけてから、儲けものの人生で好きなこと、人が喜ぶことをすることにしたいとうさん。医療現場の方たちに伝言を伝えることが人生の駆動原理になったことをルポの最中にしっかりと確認する。デモに参加し後ろから足を撃たれた若者たち、空爆により顔に火傷をおい不自由な手脚になった少女たち。ガザの上空をとぶイスラエルのドローン。あまりに知らないことばかり。
2021/03/21
uniemo
何となく借りた図書館本なので本作は「国境なき医師団」を取材した著者の2作目ということも読んでから知りました。今までの紛争地のルポを読んでも感じたことですが、とにかく現地に行って今何が起きているのかを目撃し、発信したいという著者の気持ちはとても伝わってきました。
2022/02/03
Toshi
いとうせいこうによる国境なき医師団のルポルタージュ第2弾。比較的安全だった第1弾とは異なり、今回は素人が取材できる中では最前線のガザを訪れる。そこは日々イスラエル軍の銃撃をうけた若者たちが運び込まれる野戦病院であり、リハビリセンターであった。身体的にも精神的にも元には戻らない傷を負った人々は、それでも笑顔で取材に応えることで、そしていとう氏はそれを飾らない真摯な言葉で伝えることで、この世界の不当と人間の力を訴える。どんな政治的背景があろうとも、武器を持たない人々を一方的に傷つける「正義」は存在しないのだ。
2021/03/11
spatz
つきささるような痛み。傷ついた人々の姿が写真とともに生々しく語られる。激しい痛みや、傷ついた体で不自由とともに生きなければならない市井の人々。複雑な思いを禁じ得ない。歴史とは、語られる側によって表現や評価はかわる。当たり前といえば当たり前だ。アウシュビッツ解放記念日から祈念されるものが苦悩と共に目の前にあらわれる。現実の政治的動向と複雑に絡むので一筋縄で評することは不可能。パレスチナの人々がわからの話、ということだ。
2021/03/02
東の海月
読み進めるのが辛くなるほど、戦争の酷さがこれでもかと伝わってくる。しかし苦しんでいる方達は、ここだけに留まらず数え切れないほどいるのだろう。銃撃されてもなおデモへ行く人と、自分よりずっと小さな女の子の真っ直ぐな視線が印象的。彼らの言葉ひとつひとつが心に刺さった。国境なき医師団の人達、色々なことを話してくれた現地の人達、それを伝えてくれたいとうせいこうさん。感謝とともに、平和な場所にいる私も、だからこそ何かできないかと思った。具体的に考えてみる。
2022/02/24
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