慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り 漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代 (講談社文芸文庫 つL 1)
慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り 漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代 (講談社文芸文庫 つL 1)
- 作家
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2021-01-11
- ISBN
- 9784065222751
慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り 漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代 (講談社文芸文庫 つL 1) / 感想・レビュー
shizuka
教科書の常連である文豪たちにも若い頃があり、悩みがあり、悶絶があり、嫉妬で眠れぬ夜もあったのだ。尾崎紅葉さんがなんとなく中心となって書かれているけれど、その間、アメリカで日本でみんなやっぱり生きている。自然主義派の田山花袋さんもちょこっと出てくるけれど、扱いがひどい。野心があってなんぼ。野心なくして発展はない。右へ行っても左へいってもチャンスに出くわすことができた黄金期。漢文から始まり英文学、仏文学、果ては露文学と一体いつ学んでいるんだろうと思うほどの勉強量。現代日本人との素養と教養の質の違いに項垂れる。
2023/09/30
Inzaghico (Etsuko Oshita)
余談、脇道大好きなわたしは、本筋とは関係ない逸話についつい目がいってしまう。7人のなかでも、お気に入りは反骨・在野の才ある奇人の外骨と熊楠のふたりだ。熊楠は、明治という時代にアメリカにわたり、その後イギリスに移って14年間日本に帰らなかった。アメリカでは大学に入って酒を飲んで騒ぐなどしているのは、微笑ましい。ただ、自分の好きな学問には身を打ち込んだ。そして14年間の海外生活で鍛えられた英語力は相当なもので、「方丈記」の英訳が漱石版と熊楠版で紹介されている。坪内が言うように、熊楠訳のほうがこなれている。
2021/04/11
takao
ふむ
2022/10/20
Hotspur
単行本で昔読んだことがあるので、再読。漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨の同年生まれの文人の生涯を、明治以降の日本社会の変化の上において語る力作評論。その中心となる概ね明治22年から27年までの五年間の記述、なかでも尾崎紅葉と正岡子規のパートは脱線お構いなしの文体と相俟って特に読ませる一方、やむを得ないのだが外骨・緑雨の記述はやや薄いか。本作は日清戦争開戦前夜に突然終わるが、その理由が著者あとがきによると「私は飽きてしまったのである」と人を食っている。詳しい年譜だな、と思ったら坪内祐三の年譜だった。
2023/08/20
ゆーいちろー
久しぶりにどっぷりと近代文学的世界に浸れた。国文学科出身のいちおう近代文学専攻の身として、知的好奇心をくすぐられる本だ。(ただ、自分は近代というよりは現代文学と言うべき埴谷雄高で卒論を書いたインチキ近代文学出身者なので明治文学はそれほどよく知らないのである)しかしこの七人が同い年とはまったく実感がわかない。本書も当初の予定通り外骨の死まで書かれて本当の意味での完結をしていたら、きっと一生の座右の書となっただろう。伊藤整の「日本文壇史」も読みたいし、露伴全集も読みたい。なじみのない緑雨も読んでみたくなった。
2021/06/17
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