シンジケート[新装版]
シンジケート[新装版] / 感想・レビュー
旅するランナー
啖呵を切るような攻撃的な短歌。「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」。桟橋で愛し合ってもかまわないがんこな汚れにザブがあるから。1990年に自費出版された第一歌集の新装版。林あまりさんが書いているように、この歌集は、現代短歌の歴史に大きな「!」または「❤️」を刻みつけている。そして、ヒグチユウコさんデザインのキャンディの包み紙が一枚、どこかのページに挟まってます。装丁がオシャレなことこの上ない。
2021/09/10
東谷くまみ
短歌には余白がある、想像の余地が。恋する二人は少し意地悪で、二人にしかわからない世界はキラキラしてて。その日常は非日常であり、そこに起こるドラマを短歌は切り取る。鮮烈に、時に痛みを伴いながら。ほむほむの短歌は恋の真っ只中でもいつも切ない。一人で過ごす夜の静けさ、喧嘩した後のやりとり、強がりの中にたまにみせる弱さ。好きな歌がありすぎて選べないけど、締めくくりにこの歌を選んだほむほむが大好き。「朝焼けが海からくるぞ歯で開けたコーラで洗えフロントガラス」あー、もうあなたは天才なんですか!!大好き〜♥️♥️♥️
2021/06/20
水色系
装丁に惹かれ。キャンディの包み紙がはさまって取れない設定が凝ってるなあ。好きな歌は2つ。サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい(P42)/終バスにふたりは眠る紫の〈降りますランプ〉に取り囲まれて(P82)
2022/08/12
あや
私と穂村さんの出会いは90年代。3冊の歌集を出されて全部お金を出して買った記憶がある。私は短歌にはまっていた。歌集は増えるばかり。穂村さんは『ラインマーカーズ』という3冊の歌集のベストアルバムのような本を刊行された。本棚のスペース上3冊の歌集は古書店に売ってしまった。その後2003年に私は詠歌をやめた。のちに再開するが。そんな時に手離した『シンジケート』が再販されるという。最寄りの書店の本棚の片隅にあった。私に買ってくれと訴えている。レジに直行した。今となっては90年代には許されていたという時代感覚もある
2024/09/16
コンチャン
なんと言ってもこの装丁の凝った作りです。ヒグチユウコさんのイラストも映えてるし、透けて見える背の部分もすごい。穂村さんのデビュー作ということで、短歌の中にも自然と当時の時代背景が透けて見える部分もあって、面白いです。また改めてじっくり読み返したいと思います。
2021/06/30
感想・レビューをもっと見る