台所のおと 新装版 (講談社文庫 こ 41-5)
台所のおと 新装版 (講談社文庫 こ 41-5) / 感想・レビュー
ykmmr (^_^)
『台所のおと』なんて、粋な表題から来るわけだが、女の『世界』や『苦労』、『在り方』を描いた短編集。有名文豪の娘である彼女であるが、やはり厳格文豪である父の『文才』は受け継ぎ、文章表現が技巧的ではあるが、その強さと共に、女性らしさも見受けられる。今以上に、女の立場が弱かった時代。文章的にも難しいところもあったので、全ての理解は難しかったが、オンナって、何で苦労が多いのか?オトコの足に踏まれないといけないのか?と思う事ばかり。「オトコを立てる。」美学も、納得出来ない時もあるしね。
2022/11/14
涼
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2024/04/post-433320.html 昭和初期の話かと勝手に思っていたのですが、実際には戦後すぐくらいの話が多かったです。
2024/04/26
さおり
2023年11月勝手に課題図書。を、今さら。大幅に遅れましたが、無事に読了いたしました。帯には、「なにげない日々の暮しに耳を澄ませ、目を配り、心を傾ける。透徹した感性が紡ぐ珠玉の短編集」と、あります。うん、それだ。なんかねー、ことばがすごく良かったのよ。良かったんだけど、手帳に書いておこうとか憶えておこうとか、そういう感じでもないって言うか。読んで良かったのは確か。特に気に入ったお話は「祝辞」とか「呼ばれる」とか。あ、いちばん心に残ったのは「雪もち」の主人公の名前ね。埴子!ネーミングセンス!
2023/12/19
羽
幸田文の文章は、美しく洗練されている。古めかしさはなく、粋だ。一つひとつの短編は短いが、かるく読めるような話ではないので、一心不乱に読んだ。死に近づく者の姿を間近に見る人間の、切実な感情が生々しかった。看病する側の人間は、だんだんと心をすり減らしてゆく。けれどもそういう時こそ芯の強さ、踏ん張って立とうとするたくましさがひかる。 初めて知る日本語も多かった。印象に残ったのは「胸がはららぐ」という表現。古い作品にこそあたらしい言葉を発見することができる。いくつになってもあたらしい言葉を知るのは楽しい。
2021/11/21
エレナ
短編10作品集。昭和30〜40年代に書かれた作品で、文体が読みづらかったが、感想のために読み返すとなんだか愛おしくなった。噛めば噛むほど味が出てくるかんじ。家の中のことや、女の心情を細かく描写していて、その独特の繊細さや感性を、読み慣れてくると少し面白がることができたような気がする。作者が50代に書いたとのことで、積み重ねてきた生活の重みやリアルな老いを感じた。「ぴかぴかとひとりぼっちだった。」等、好きな表現も沢山ある。苦心して読了したのにこんな感想になるとは自分でも驚く。名作の力かな。
2023/11/29
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