鳥獣戯画/我が人生最悪の時 (講談社文芸文庫 いAB 1)
鳥獣戯画/我が人生最悪の時 (講談社文芸文庫 いAB 1) / 感想・レビュー
そうたそ
★☆☆☆☆ 切れ目ない文章が続き、知らぬ間に視点人物も変わっている、という著者らしい内容ではあるが、これは全く分からず。読み切ったが、ほぼギブアップに近い。
2024/06/28
ブルーツ・リー
解説にもあったが、小説の構成として、凡庸な人物が語り始め、それが華やかな女性の視点に変わり、更には千年の時を超えて明恵上人へと移り、最終的に再び凡庸な語り手に、一人称が戻る、という構成を取っている。 物語として面白いのも圧倒的に明恵上人の部分で、前後半の語りは詰まらなくすら感じるのだが、何と、著者は、あえて、退屈な人物を描く事を選んだのだという。 純文学らしい、野心的な、実験小説と言える。 同著者の「電車道」では、人称移動の語り口が成功していたが、この作品では、どうか。 野心的な作品である事は間違いない。
2022/01/19
keiniku
誰なのか、書かれていない人との待ち合わせで、突然、初対面の女優と京都に行く事になっちゃうわ、明恵上人の生涯始まっちゃうわ、主人公の高校時代の話になっちゃうわ、という形で、磯崎、女優、明恵上人それぞれの人生の時間軸が描かれる。人生の中で夢見たこと計画したことの脆さ故の豊かさ。読み終えて外へ出ると、視界が広くなった気がする。ある程度歳を経た方が楽しめる小説だと思う。
2022/09/16
れると
『鳥獣戯画』伊藤和夫の名前が出てくると知って。私には面白さがわからなかった。丸(句点)ではなくて点(読点)が使われている文が多いけど、でもそれに慣れると文章は意外と読みやすい。過去の話、「私」は都立上野高校から1年の浪人生活(1983年)を経て早大に。家は埼玉県三郷市だけど、上野と御茶ノ水は近いよね。高校3年から付き合い始めた彼女も浪人している。大学(別々の)1年のときに別れる。短編「我が人生最悪の時」自分から気持ちの離れた恋人はやっぱり諦めるしかないか…
2024/05/03
オサム
磯﨑氏の感性はおそらく私のそれと似ている。鳥獣戯画絵巻を前にしてのエピソードは、広隆寺弥勒菩薩像を拝観しに行った遠い昔のことを思い出した。だが同族嫌悪という点もあるが、私はこの作品を小説としては評価できない。作者の独白であれば勝手にやってくれ。「我が人生最悪の時」には反吐が出そうな思いだった。しかしそうした反応をさせたということは、これは小説としてしっかり成り立っているということなのかな。
2023/03/21
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