埋もれた日本地図 (講談社学術文庫 2681)
埋もれた日本地図 (講談社学術文庫 2681) / 感想・レビュー
HANA
民俗学者による紀行文。初出は50年前、故に歴史的な記述は当時隆盛を極めたマルクス史観をベースにしており、正直現在の目から見たら首を傾げざるを得ない部分が多い。その一方で折口、柳田にインスピレーションを与えた大王崎、伊良湖崎紀行や下北の村々、庶民が残した手紙文章等は、以前民俗学関係を読んでいた時、柳田や折口の文章に酔った事を思い出し懐かしく覚ゆる。後半の沖縄に関する文章も著者の名著『常世論』を連想させ、この世ならぬ彼方に思いを馳せていた時の事を思い出すなあ。読んでいる間中、旅情と郷愁を抱かせる一冊でした。
2022/01/02
Hiroki Nishizumi
非常に貴重な資料だと思った。今となったは語る人もいないところも多く、記録ということの意味を再認識した。特に八重山、宮古は興味深く味わえた。
2022/01/16
林克也
谷川さんが赴いた現地をグーグルマップで見ながら読んだ。50年以上前のこと故、現在とは状況が違うところもあるだろうが、なんとなく雰囲気は感じることができた。 「歴史」には表通りと裏通りとがある、ということを改めて思い知らせてくれる本だった。例えば、第一部のなかで、崑崙人が伊良湖岬で異国の歌を歌っていたということと、首里王府は薩摩の収奪を宮古、八重山の民に転嫁するために人頭税を創設し、沖縄本島には人頭税は適用されていなかったということを知ることができた。
2021/11/05
ひょん吉
石垣島の出張が増えたので、気になって購入。確かに離島だと、神に対する考え方が固まる過程は、本土とは違うよな、と思いました。太陽が昇るときに神聖があり、のぼってしまえば無くなるもいうのも面白い。沖縄の日本兵という章があり、ここだけは他と異質でした。
2022/10/07
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