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朱色の化身

朱色の化身

朱色の化身

作家
塩田武士
出版社
講談社
発売日
2022-03-16
ISBN
9784065249994
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朱色の化身 / 感想・レビュー

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starbro

5月の第一作は、塩田 武士の最新作、塩田 武士は、新作中心に読んでいる作家です。著者10周年記念作品、過去と現在、依存症の社会派ミステリでした。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000351265

2022/05/01

パトラッシュ

父の依頼で行方不明の女性を探す息子の旅路が意外な展開を辿り、身勝手な男に苦しめられ続けた母娘三代の70年余が取材や証言を通して見えてくる。長い探索の果てに到達した真実が冒頭の芦原温泉火災と結びつき、多くの人を巻き込んだ過去が明らかになる構成も巧みだ。モーパッサンの『女の一生』を三乗したような辛い展開だが、男尊女卑や家父長制が当然の時代に耐えるしかなかった日本の女の哀しさが凝縮されている。もし『飢餓海峡』のような一貫したドラマとして描かれていたら壮大な社会小説になっていたが、短く終わってしまったのが惜しい。

2022/06/02

いつでも母さん

そもそもは父の依頼ー大好きだった祖母・菊代が興信所まで使って知りたかったこととは何か。辻静代と言う女性は誰?ライターの孫・亨が奔走するのだが、自分が書いた記事にある辻珠緒との関係は?第一部事実の様々な証言。そこから浮ぶ珠緒像に沢山の?だけが積み上がるが先は見えない。そして第二部真実から見える事。事実と真実の闇は深い。序章の芦原温泉大火の事も回収されて、なのに胸にしこる遣る瀬無さが苦しい。生き抜くことの壮絶さを、三代に渡る女性の人生が教えてくれる。「雪の音が 誘う雄島 朱の化身」圧巻だった。お薦めです。

2022/05/03

kotetsupatapata

星★★★☆☆ 父の依頼で一人の女性を探し始めた主人公の大路 通常だと、“何故探すのか?”“父との関係性は?”が明らかにされてから物語は展開するのでしょうが、冒頭から辻珠緒を知る関係者のインタビューから始まり、読者も集めたピースで彼女の骨格を形成しながら、先の読めない展開にどぎまぎしながらラストを迎える手法は斬新に思えました。 正直大路の祖母 菊代が興信所を雇ってまで静代を追い、さらにその息子である父親が血縁者の珠緒を探すというのは、真実を知りたいという動機としては弱いかなと感じました。

2022/12/05

のぶ

ミステリーとして傑作ですね。物語は大路亨というライターの一人称で綴られる。ある時、元新聞記者の父から辻珠緒という女性に会えないかと依頼を受ける。珠緒は福井県芦原温泉の出身で、ゲームの開発者として知られていたが、突如姿を消していた。本書では珠緒に対しての調査を一部、二部と分け、元夫や大学の友人や銀行時代の同僚等を通じて取材を重ねる。やがて珠緒の人生に昭和三十一年に起きた大火が影を落としているのに気づく。そして珠緒の人物像が浮き彫りになり、その先に待っていたのは?松本清張を読んでいるような印象を受けた。

2022/03/27

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