ロミオとジュリエットと三人の魔女
ロミオとジュリエットと三人の魔女 / 感想・レビュー
旅するランナー
売れない俳優シェイクスピア(24歳)が主人公の五幕。場面は十二夜のイリリア。ロミオとジュリエット、フォルスタッフ、イアーゴなど、主要キャラが違った形で登場します。前半のドタバタした設定では、このまま読むべきか読まざるべきか、それが問題だと感じるけど、シェイクスピアが初めて劇を演出·脚本するあたりから一挙に面白さが加速します。偉大な劇作家の誕生物語になっています。シェイクスピア作品の知識があるほど面白いんでしょう。そういう意味では、作者が一番楽しんでいるのかも。高橋将貴氏による絵がキャラを見事に描いてます。
2022/05/18
のぶ
本作は自分が先に読んだ、真藤順丈さんの「ものがたりの賊」に構成が似ているように感じた。真藤さんの方は日本の文学の登場人物が入り乱れて、物語を進めていくのに対し、本書はアドリア海の小さな島国、イリリアを舞台にシェイクスピア自身や、ロミオ、ジュリエット、シャイロック等、作品の登場人物を登場させドタバタ喜劇を繰り広げる話だった。中身は正直、荒唐無稽で何でもありの世界が展開していく。自分はシェイクスピアの作品に詳しくないので分からなかったが、彼の作品の要素が込められていたかもしれない。詳しい人なら楽しめるかも。
2021/12/18
うののささら
イギリスの紫式部、シェークスピアはなかなか和訳が難しく読んでてもいまひとつに個人的には思う。卓越した人間観察と心の描写を門井さんみたいに楽しく書いたら面白いな。十二夜のヴィオラにセバスチャンにオーシーノ伯爵、真夏の夜の夢の妖精パックなどシェークスピアのフルキャストが出てきて楽しく読めた。道化役で登場のシェークスピアは出会った名言を秘密ノートに日々書き込み、材料をたっぷり仕込んで虚曲を書き始める。架空と現実は人が思うほどの差はない。
2021/12/24
いたろう
シェイクスピアの若かりし日、劇作家としてデビューした時の物語(?) と言っても、シェイクスピアの作品に出てくる登場人物たちが普通に登場し、シェイクスピアの戯曲の中の台詞が飛び出し、ドタバタになった、これは、シェイクスピアのパロディー小説。直木賞受賞の「銀河鉄道の父」を初め、近年は、すっかり近世・近代中心の歴史小説家となっていた門井さんだが、本作は歴史小説とは言えない、史実無視のライトなコメディで、門井さん、急にどうしちゃったの?という感じ。最近の作品にない軽さは驚きだが、まあ、たまにはこんな作品もいいか。
2022/01/21
hiro
今まで読んだ門井作品のほとんどは、時代設定が室町から昭和初期までの作品だったため、まずこの題名に驚いた。そして登場する人物では、もちろん主人公の劇作家シェイクスピアとロミオ、ジュリエットは知っているが、シェイクスピア劇に登場するらしいヴァイオラ、フォルスタッフ、シャイロック、パック、イアーゴーについての知識がないため、最初はとっつきにくかった。しかし、実際のシェイクスピア劇の名台詞らしい?台詞なども登場し、門井さんがシェイクスピアに対する敬意を込めて作った喜劇だということがよくわかる異色の作品だっだ。
2022/01/31
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