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現代生活独習ノート

現代生活独習ノート

現代生活独習ノート

作家
津村記久子
出版社
講談社
発売日
2021-11-19
ISBN
9784065260371
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現代生活独習ノート / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

いずれも「群像」に掲載された8つの短篇から構成。「メダカと猫と密室」を例外として、基本的には一人称視点から語られる。2005年に小説家としてデビューし『マンイーター』で太宰治賞を受賞してから、かれこれ20年。その間に『ポストスライムの舟』で芥川賞を受賞しているが、この短篇集でも作家としての幅の広さを如実に示している。ここでも、けっして深い感動を与えるといった作風ではないが、日常に潜むある側面を見事にすくいあげている。時にはSF風に逸脱してみせたりもして。

2024/06/10

まちゃ

題名に惹かれて手に取った津村さん2作目。何か疲れている、最近よく聞かれるようになった陰キャの人々を主人公にした短編集。冴えない日常も案外悪くない、そんな脱力系の物語。怒り、諦め、惨めなことも多いけど、ときどき感じる幸せを大切に。/【収録作】「レコーダー定置網漁」「台所の停戦」「現代生活手帖」「牢名主」「粗食インスタグラム」「フェリシティの面接」「メダカと猫と密室」「イン・ザ・シティ」

2021/12/09

HMax

なんでもない日常を書き綴ったような短編+αの8編。いやいや久しぶりの津村さん、こんなに疲れ果ててはいないけど、面白いし癒されます。ベスト3、①粗食インスタグラム:クラッカー+水の夕食が続いて、いきなりかやくごはんをそんなに食べて大丈夫?ユーカリだけ食べてればいいってコアラが羨ましい。②現代生活手帳:なんと近未来SF、こんな手帳が欲しい、でてくる商品も欲しい物ばかり、この光テーブルなんか最高。③台所の停戦:ちょっと切ない親から子への伝え物。

2022/04/17

とろとろ

偶然録画していた興味のない番組・冷蔵庫内の陣地争い・貧弱な食事ばかりのSNS画面、などの紹介にあるあるしてる(笑)。この主人公を自分に置き換え、近い他人に置き換え、職場の誰かに置き換え、どっちになっても、とにかく全部アルアル。文章の中の人はダラダラだけど、文章はハッキリと快活に話は進行していく。そのアンバランスもたまらないなぁ。で、結末は一応明るい方向で終わっているのがなお良い。この前に読んだ「つまらない住宅地のすべての家」も、何となく良い方向に明るく話が終わっているので、そんな傾向があるのかなと思う。

2022/03/01

みっちゃん

つらい。しんどい。擦りきれて、疲れ果てて。何を食べるのかすら決められないとか、好意や無邪気、の皮を被って近づいてきて、自分に侵食して支配しようとする人間から逃げ出せないひとたち、とか居たたまれなくもなるけれど、最後にはどこかほっとする結末が用意されていて救われる短編集。最終話は『エブリシング・フロウズ』を思わせる。友へのさりげない優しさと思いやり。信頼と連帯感。君たちの未来に幸多かれ、と願うよ。

2022/05/15

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