電気じかけのクジラは歌う (講談社文庫 い 147-1)
電気じかけのクジラは歌う (講談社文庫 い 147-1) / 感想・レビュー
よっち
人工知能が作曲をするアプリ「Jing」が普及し、作曲家の仕事が激減した近未来。「Jing」専属検査員になった元作曲家・岡部の元に、自殺した現役作曲家で親友の名塚から未完の新曲と指紋が送られてくる近未来ミステリ。名塚から託されたものの意味と、事故で右手が不自由になった名塚の従妹・梨紗の苦悩、そして「Jing」を作り出した霜野の野望。「Jing」で気軽に音楽を作れてしまう中、あえて自分の手で音楽を作り出す意味に葛藤しながらも、秘められた名塚の想いに気づいてゆく展開は著者さんらしさがよく出ていて面白かったです。
2022/01/15
オセロ
リスナーに合わせて好みの音楽を作曲してくれる人口知能「Jing」が発明され、作曲家が激減した近未来を舞台に、自殺した天才作曲家の名塚楽の遺曲の謎を巡るミステリー。 「Jing」の検査員で名塚と共に音楽をやっていた岡部数人が共通の知人や、名塚の死をキッカケに関わるようになった人達と接する中で謎が謎を呼ぶ展開、そして明らかになる「Jing」を作った霜野の挫折と野望。 一連の出来事を通じて、名塚の遺志を組んだ岡部が新たな一歩踏み出すラストにはグッとくるものがありました。
2022/04/16
神太郎
天才作曲家の死を巡るストーリーはミステリー色もありながら創作の世界にAIが入り込み、その世界を蹂躙するかもしれないという怖さを描くSFでもある。便利なテクノロジーが仕事を奪っていくかもしれないという問題は今正に起こっているので、オーバラップしてしまう。勿論、使い方によってテクノロジーは良くも悪くもなる。使う側がどうしたいのか。それに尽きると思うのだ。ラスト、僕はそれでも人間讃歌を描いていると捉えたいのだがこれまた人によって受け取り方は違うかもしれない。
2023/10/22
おうつき
「虹を待つ彼女」は大好きな小説で、同じ著者のAIをテーマにした作品という事もあり読むのが楽しみだった。人工知能が音楽を作り出せるようになり、作曲家が世間から必要とされなくなった近未来。自分は作曲の経験はないが、クリエイターがAIによりアイデンティティーを奪われる閉塞感に胸が苦しくなった。ミステリとしても最後まで続きが気になり、あっという間に読み終えてしまった。近い未来に現実にそうなるかもしれない世界の絶望と希望、可能性を見事に描き切った傑作。
2022/05/02
緋莢
人工知能がリスナーに合わせて好みの音楽を作ってくれるサービス「Jing」。音楽評論家が本物と聴き比べても、正解できた人数は少なく、サービスを提供する会社の会長が「jingとリスナーがいれば、それだけでいい。もう、人間が作曲をする必要などないのです」と豪語するほど。Jingの〝検査員”をしている岡部は、かつてユニットを組んでいた名塚が 未完成の曲を残し、自殺したと知り…この文庫は2022年、元となった単行本は2019年刊行(続く
2023/11/05
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