イクサガミ 天 (講談社文庫 い 148-1)
イクサガミ 天 (講談社文庫 い 148-1) / 感想・レビュー
W-G
滅法面白い。早く続きを読みたい。こういったデスゲーム物の先駆的作品『バトル・ロワイアル』よろしく、漫画チックな尺の詰め方や展開、感情移入のためというよりも、死亡フラグとして挿入される回想シーン。そして予想を裏切る人物の急な脱落etc、お約束をきちんと理解したうえ、使いこなせていることに感心しきり。三部作の一作目ということで、まだラスボス候補が絞りきれないほど生き残っており、それ次第でどういう展開にもなりうるが、バトルだけではなく、失格の処遇検証を始めたり、この時代らしからぬ頭脳戦もある程度期待出来そう。
2022/04/06
青乃108号
なんだか漫画みたいだな。読み始めはその様に感じ、なめてかかっていた。どうみても文字通り一本道のストーリーのはず。ところが読んでいくうちどんどん引き込まれる。見せ場に次ぐ見せ場の連続はまるでジェットコースタームービーの様で、これはやめられない。次々出現する新たな敵。それぞれの出自を語るエピソードを随時挟みながらも、先を目指し突き進む物語のテンポはいささかも乱れず、その構成は見事というしかない。全3巻の内のこの第1巻は、とても気になるところで終わってしまい。これは第2巻も読まずにはいられなくなる。
2023/06/13
パトラッシュ
文明開化を喧伝されるが心は武士のままで、幕末維新の動乱で人殺しに慣れた者があふれていた明治初期だからこその設定。内乱や革命後に新政権が樹立されても、こんなはずではと不満を募らせる者が必ず出てくる。そんな彼らが大金を餌に、殺し殺されを強要されながら東京へと下る殺人ロードノベルを展開するのだから。後の独ソでは反逆者を容赦なく粛清した事実を知っていると、不要な人間を廃棄する政治のえげつなさが「あり得るかも」と思えてしまう。切実な事情を抱えていようと誰もが簡単に死んでいく修羅の旅路に、愁二郎と双葉はどうなるのか。
2023/06/05
しんごろ
時は明治十一年、西南戦争の後。士族が大金をかけてのサバイバルゲームが始まる。私利私欲、様々な事情、それぞれの想いが交差して、全国から集まった猛者達の激しいバトルが始まる。主催者の意図を知らずに…。まさに死闘。当然、愁二郎と双葉を応援したくなる。激しい闘いは、まさに死闘だ。まだ見ぬ強敵が現れるのは間違いなし。今後、どのような展開が待ち受け、どんな戦いが繰り広げられるのか。ああ、続きを早く読みたいと思った気持ちは久しぶり。続編が待ち遠しい。
2022/02/26
海猫
直木賞受賞直後の新刊が、文庫の新シリーズなのも著者らしい。しかも内容は、明治時代を舞台にしたデスゲーム小説。序盤からエンジンが掛かる感じで、疾走感に乗せられ一気読み。視覚的な殺陣場面の連続で、圧倒的に面白い。主人公が少女を守りながら闘うという、映画の「レオン」みたいな趣向も効いて熱い。今村氏が単行本で書いてる作品群の格調はここになく、カジュアルで奔放な楽しさに満ちている。なぜ明治時代なのか?というあたりも巧妙に仕掛けているように思う。これを原作にコミカライズすれば、良い漫画になりそう。次巻を早く読みたい。
2022/03/03
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