現代思想入門 (講談社現代新書 2653)
現代思想入門 (講談社現代新書 2653) / 感想・レビュー
trazom
売れている評判の一冊として手に取ったが、私はこういう本が苦手だ。確かに、デリダ、ドゥルーズ、ラカンなど読むのに難渋する思想を平易に解説してくれるのは有り難いが、「…と覚えてください」「…と押さえておけばいい」というような紋切り型の理解を要求するのは、ポスト構造主義の対極にある姿勢ではないのかと感じる。原著を読みこなす手引きとしてではなく、結論を単純化するアンチョコに使われるとすると弊害は大きいかもしれない。尤も、本書が、現代思想への興味の扉を開く真の意味での「入門」であるのなら、その価値はあると思うが…。
2022/05/30
けんとまん1007
二項対立には辟易としているし、その危険性も感じていたので、いいタイミングで出合えた。自分自身のものの考え方・感じ方を、整理する方向性がみえたような思いがする。
2022/10/16
こも 零細企業営業
本書は、現代思想の複雑さを解きほぐし、読者がそれを理解し、自分自身の生活や考え方に応用するための具体的な方法を提示してる。秩序と逸脱のバランスを考えることは、現代社会において非常に重要であり。本書を通じて、現代思想が持つ力とその応用可能性を再認識し、日常生活や社会問題に対する新たな視点を得ることができたかも?『現代思想入門』は、哲学に興味を持つ者にとって必読の書でだと思う。デリダ、ドゥルーズ、フーコーの思想を学ぶことで、私たちは現代社会の複雑さを理解し、それを超えるための新たな視点を得ることができるかも?
2024/06/03
venturingbeyond
評判の通りの良書。「脱構築」をキーワードに、すでに20世紀後半の思想史上にしっかりとした位置を占めている「(フランス)現代思想」について、その中心的論者であるデリダ、ドゥルーズ、フーコーの3人の学説に焦点を当て、難解・晦渋とされる全体像から大胆にその中核的部分を切り出し、その特徴や歴史的意義を平易に叙述する前半部は、本当に読みやすい。後半部で、前史と現代の「ポスト現代思想」のつながりの中にマッピングする手際もすばらしく、一般読者向けの入門書というジャンルに望まれるある種の理想を体現した一冊。
2022/07/05
TS10
デリダ・ドゥールズ・フーコーらの思想を中心として、ポスト構造主義哲学を非常に平易に解説する。その上で、ニーチェやフロイト、マルクス、ラカンは勿論として、カント哲学までもが彼らの思想の淵源として紹介されており、哲学史に対する理解を深めてくれる。脱構築とは、著者によると、従来の二項対立という思考では必ずしも捉えきれないエネルギーを説明するための試みであるようだ。「生政治」や「自己への配慮」など、殊にフーコーの思想は日常生活でも参考になりそうな概念であるため、さらに読み進めて行きたいと思う。巻末の付録も有用だ。
2024/08/18
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