人はどう死ぬのか (講談社現代新書 2655)
人はどう死ぬのか (講談社現代新書 2655) / 感想・レビュー
starbro
久坂部 羊は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 医師ならではの著者がリアルに書いた死に纏わる医療エッセイ、新鮮味はあまりありませんでしたが、両親の死が近づいている私にとっては参考になりました。 https://gendai.ismedia.jp/list/books/gendai-shinsho/9784065277195
2022/06/04
いつでも母さん
非常に読みやすい。頷く箇所が多々あった。現役医師でもある久坂部さんならではの視点からだがしっくりくる。そして、私も斯くありたい。親を看取る世代の私だが、自分の死も頭の隅にあって・・夫や息子が迷わぬように悩まぬようにと思っている。久坂部さんの小説で幾つも気付かされる事もあったのは事実だが、いざとなると割り切れたり納得できるかは難しいところではある。親戚やら善意の知り合いの言葉に翻弄されたりもするだろう。社会全体で【尊厳死】に取り組む時はとっくに来てると思うのだが・・どう死ぬのかは、どう生きたいかでもある。
2022/04/19
trazom
死に関する哲学的な考察かと思いきや、久坂部さんは、医師/小説家としての醒めた目で、現象として死を捉えている。タブーに鋭く切り込む言葉が連発する:蘇生処置というパフォーマンス、エンゼルケアという欺瞞、「普段」より「死に目」を大切にする本末転倒など。更に、激しい苦痛に苛まれながら死ぬに死ねない状態で時間を長引かせる下手な最期を迎えないために、「高度な医療は受けない方がいい」「医療は死に対して無力」とは過激だ。日本人の死生観を歪めているのが、「生の無条件肯定と死の絶対否定」という心性であることを納得する。
2023/06/13
yumimiy
人はどう死ぬのか_そりゃ人それぞれだろうと思いつつ_以前受けた死の受容プロセスという講義内容を思い出す。否認→怒り→取引→抑鬱→受容、この受容時どこに居るかが問題。自宅か病院か施設か樹海か。自宅で静かに死にたいのに家族が動転し救急車を呼び病院でいらぬ延命治療で苦痛増々ケースもあると。ちょっと笑えるのが作者のお父様、いい人生だったと家族に伝えるもお母様はそうですねとは言わなかった。個人的に一番の興味は安楽死、有名なのはオランダ。それ以前にスイスは医師による自殺幇助がOKとは驚いた。さて、自分はどう死ぬのかな
2022/12/11
mukimi
私も医者として社会を知るのと同時に患者さん達に死を教えてもらってきた。死について軽々しいことは言えず感想は難しい。本書では生を終えた後の状態ではなく「働く」「走る」みたいな動詞としての「死ぬ」について述べられる。もう生きられない時どう人生を終えるのか。どう苦しみを受け入れるのか。死ぬに死ねない苦しみや尊厳死などの問題にはまだ立ち向かえないが、死についての読書は不思議と心を穏やかにしてくれた。死について常日頃から考えておくことは、周りの人を大切にし今日の健康に感謝してより良く生きることに繋がると私も思う。
2022/12/31
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