セカンドチャンス
セカンドチャンス / 感想・レビュー
ヴェネツィア
それぞれに仕事を背負った中年男女が繰り広げる、市井のスポコンもの。篠田節子の文体はいたって軽快。いつの間にか形成された混合メドレーチームも、しだいにそれらしい結束を高めていく。読者の多くはやはり麻里に感情移入しながら読み進めるだろう。そうすると、様々に見えてくるものがある。ラストシーンは、想像していたものとは違って、実にあっけないくらいに終わる。後には何にも残さない。見事なくらいにさばさばとした幕切れである。こんなに潔い終幕も珍しい。
2024/10/22
starbro
篠田 節子は、新作中心に読んでいる作家です。 タイトルから第二の人生的なもう少し大きなテーマかと思いきや、表紙の通り意外と地味なテーマでした。主人公と性別は違えど、私はシニアのスイミングスクールに通ったり、マスターズに出場したりしません(笑) https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000365651
2022/07/29
Richard Thornburg
感想:★★★★ タイトルとイラストと帯コピーを一つに結び付けて内容を想像するのは難しいと思われる本でした(笑) 主人公は親の介護で婚期を逃した50代の女性。 年齢的に他例にもれず生活習慣病のオンパレードで病院の生活習慣病撲滅プロジェクトに参加するものの。検査結果の数値は一向に良くならずに病院の先生からは怒られる始末。 そこから地元のスポーツセンターへ通い始めて水泳をすることになる主人公。
2022/07/05
ノンケ女医長
医療事務担当として病院に入職した、麻里。家庭の事情で退職し、20年間も両親を介護した。母親を見送ってから、新しく眼科の検査助手に就き、そして体調変化に気づいた。医師に嫌味を言われ、未婚であることに健康不安も高まり、彼女は泳ぐことを選んだ。生活習慣病と向き合って結果を残すのは本当に難しいけど、麻里は元来、とても生真面目なんだと思う。少しずつ体調が良くなり、自信を取り戻す描写も多く、良かった。もっと生々しい、中高年ならではの悲哀、孤独、体調懸念の描写を厚くした方が、鼓舞される人は増えるかも。
2023/08/02
いつでも母さん
タイトルと帯から、なんとなく想像は出来た。『人生、まだまだ捨てたもんじゃない。』満足の読後感。親友・千尋の的を射た言葉に何度も頷いたり、51歳の麻里に勝手にツッコんだり、小さく拳を握ったりしながら最後まで楽しく読んだ。麻里のこれまでを『敗者』とは思わないけれど、介護や家事に費やした年月は戻らない。だがしかし、自分の人生だものね、勇気と元気とやる気があれば・・何とかなる(と、私は自分に言い聞かせてみる)生活習慣病改善目的で始めた水泳教室から、麻里と関わる人々との会話が身近に感じられ自然と皆を応援していた。
2022/07/22
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