イクサガミ 地 (講談社文庫 い 148-2)
イクサガミ 地 (講談社文庫 い 148-2) / 感想・レビュー
W-G
ついに出た!一気に読了。新キャラ登場の伏線と思われる冒頭から、出し惜しみなく京八流の生き残りが勢揃い。義兄弟同士のバトルロワイアルな展開を予想していたが、割りとあっさり共闘関係に。その後の道中でさらに新キャラを投入しながら物語は違う局面に達する。天・地・人の三冊で完結かと思っていたが、多方面に風呂敷を広げているので、あと一冊できれいに終わる気がしない。また、京八流の奥義は他者に伝えると二時間ほどで使えなくなるという新ルールが明かされた。流石にこれはそれっぽい説明をつけられず、ファンタジーに寄りすぎた。
2023/05/17
青乃108号
「蠱毒」の首謀者が割れ、その目的も垣間見えてきた第2巻。全編を貫く疾走感は相も変わらず、見せ場に継ぐ見せ場の連続と死闘を克明に描写する筆力で一気に読ませる。殊にクライマックスの浜松の攻防は、読みながら恍惚感を覚える程の凄まじさ。これは凄い。面白い。完結編が待たれる。読まずに死ぬわけにはいかない。
2023/07/03
パトラッシュ
価値観が転倒した混乱の明治初期とはいえ、多数を集めて殺し合わせる「蟲毒」という大きな企てを実行できる組織は限られる。その正体と動機も大きな謎だったが、こんな形で持ってくるとは。維新は近代国家への出発ではなく、力ある者が正義の権力闘争であったと思い知らされる。そんな政治の嵐に巻き込まれた愁二郎と双葉が、仲間や支援者と共に命を狙う連中を死闘を重ねながら東京へと急ぐドラマは、作者の奔放な想像力が全力で爆発する圧巻な展開となっていく。死んだはずの男が登場するラストの驚愕も加わり、いよいよ今後に目が離せなくなった。
2023/08/15
海猫
2冊目は本の厚みがぐっと増したが、内容もより骨太に。新キャラが続々出てきて、それぞれ掘り下げが深いので群像劇的になってきた。読者としても愁二郎だけを見守って読めるお話ではすでにない。剣戟場面が前巻より濃度が増して手に汗握る。設定のわりに雰囲気が殺伐としておらずえげつなさがないが、これで良いと思う。なぜ時代背景が明治なのか?というあたりも一層意味合いが感じられる。主催者側の意図に迫る展開もあり、風呂敷の広がりようにワクワクする。さて次巻はどう決着を付けるか。本の厚みがさらにアップは必至。すぐにでも読みたい。
2023/06/12
しんごろ
前作を上回る死闘になるのかと思いきや、地にしっかり足をつけた重厚な展開。もちろん熱い死闘はあるが、愁次郎と京八流の兄弟の過去などがわかる。戦い方も変わってきた。そして、蠱毒との戦いとは別に政治が絡んだ戦いにもなりそうだ。大久保利通、前島密、川路利由、更に四大財閥まで絡んできた。“日本近代郵便の父”前島密をここまで全面に登場するとは思わなかった。史実を絡めてきたバトルロイヤル。このあとは、どうなるんだ。次でホントに終わるのか。どういう着地点が待っているのか、今から次作が楽しみだ。
2023/10/17
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