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汝、星のごとく

汝、星のごとく

汝、星のごとく

作家
凪良ゆう
出版社
講談社
発売日
2022-08-04
ISBN
9784065281499
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汝、星のごとく / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

櫂と暁海の語りが交互に繰り返される構成。それはある時は互いに寄り添ったり、また時に激しく共鳴したりもする。そして、大きな齟齬が継続する時間を持ったりもする。二人の感情のあり方、そしてその行方の定めなさもまた人の摂理であるのかもしれない。物語の主な舞台となるのは瀬戸内の島。その閉塞社会の中から出てゆく櫂。一方はそこからなかなか脱却できない暁海。櫂の生い立ちと小説家への道程は凪良自身の体験が色濃く反映していそうである。エピローグは予想される範疇にあるのだが、それでも読者である我々は切なくも深い感慨に包まれる。

2024/01/17

ろくせい@やまもとかねよし

多くの人に幸せだと思われなくてもいい。それが私の選んだ幸せなら。これが主人公30代女性の結論。彼女の半生を綴る。表す2つの利他。社会が誘導するものと自発するもの。正しさで揺さぶられる彼女の利他。「愛と呪いと祈りは似ている」と。捨てられないは、正しさで解せない自発的利他。それは高校の恋愛で知り得たもの。それは恋愛で表現しきれない清々しい人間関係の源。それは抗いたい慣習や血縁による社会不条理を、言葉なくとも共感し、共有し、そして共鳴を望んでいたもの。彼への想いだけに利己だとしても利他を捨てた彼女の選択に感涙。

2022/08/24

さてさて

『瀬戸内の小さな島』で17歳の青春をともに生きた主人公の櫂と暁海が、さまざまな苦悩の中に、それぞれの人生を生きていく姿が描かれるこの作品。瀬戸内の美しい自然を鮮やかに写し取っていく凪良さんの見事な描写の数々にすっかり魅了されるこの作品。巧みな視点の切り替えと、同じシーンを重ねる構成によって、主人公二人の心の機微を余すことなく読者に伝えてくれるこの作品。凪良さんらしく、極めて読みやすい物語の中に、佐藤春夫さんの「夕づつを見て」という詩からとったという書名に込められた思いを味わい深く感じる絶品だと思いました。

2022/08/06

starbro

凪良 ゆう、4作目です。本作は、青春恋愛譚の秀作、本屋大賞にまたノミネートされそうです。北原先生は、本当に良い人でした。青埜 櫂の遺作、作中作「汝、星のごとく」も読んでみたい。今年のBEST20候補作品です。 https://news.kodansha.co.jp/9378

2022/09/07

パトラッシュ

社会問題化しているヤングケアラーについて、生活能力がなく子にたかって人生をダメにしてしまう毒親をなぜ見放せないのか苛立たしく感じる。櫂も暁海も親を捨てる決断を下せれば成功できたのに、最後まで自らの間違いを理解できず失敗した生き方を選んでしまった。惨めで愚かな若者の生涯といえばそれまでだが、親は無条件で優しく支えねばという強迫観念に囚われる人が増えているのではないか。親である前に人であり、人として尊敬できるか否かこそ重要なのだ。安倍元首相暗殺犯に対して、子供なら最後まで母親を支えろと言える人がいるだろうか。

2022/09/13

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