旧友再会 (講談社文庫 し 61-29)
旧友再会 (講談社文庫 し 61-29) / 感想・レビュー
じいじ
読み出しは、これ浅田次郎ではと錯覚に落ち入ったが、やっぱり重松さんの味だと読了して思った。5篇の中では、哀愁漂う表題作が好きだ。主人公の想い出がつまった地方の小さな都市が舞台。ボケることなく逝った両親をもつ中年男と、ボケた母とボケが始まった父をもつ同級生の話である。身につまされる様々な思いが、読みながら体を駆け巡った。私自身が、25年ほど前に両親を見送ったこと、そして間もなく訪れるかもしれないボケへの心配…など頭の中で交錯した。「ボケの苦労を、家族にかけないで…」が我が老夫婦が出した結論ですが…果たして?
2022/08/01
よんよん
単行本で読んでて、既読感ありながら忘れているなぁと思って読了。重松清さんはじんわり心に沁み入るお話が多い。「老い」を間近に人生を振り返る。これでいいんだ、これで良かったと思えることばかりはない。故郷から遠く離れて永らく会わなかった旧友との再会。その間の人生を飛び越えて、昔に戻ることができる。懐かしいだけではないけど、この歳になると共感しきり。
2022/11/26
タツ フカガワ
中・短編5話を収録。地方の寂れた駅で客待ちをしていたタクシーに乗り込んできた中年の男は運転手と小・中学校が一緒だったことに気づく。38年ぶりの再会だった。といっても特別仲が良かったわけでもないこの二人のほろ苦い関係性が妙に味わい深い表題作。この運転手が「歳をとるのは、つらいよなあ……」とつぶやく場面があるが、これが全編に通じるテーマかも。中編の「どしゃぶり」は先の表題作に通じる懐かしさ、郷愁を覚える一編ですが、ちょっと冗長なのが残念でした。
2024/03/20
まこみん
「あの年の秋」はノスタルジー1972で既読みたいだが覚えてなかった。表題作「旧友再会」と「どしゃぶり」が再会がテーマで中年以降に差し掛かった男性の心情、諦念等がしみじみと語られる。どしゃぶりでは昔野球部だった父親が息子の現代の部活との違いに戸惑う場面で、息子には同じ思いはしてほしくないが、あの理不尽な規則やシゴキの日々を懐かしくも思ってしまう主人公達。人生悔しい思いや口に出せない問いや答えがわからないままの問いはうんざりするほどある。色々あるさお互い大変だよな頑張るしかないよなで話を纏めごまかしていく。
2024/09/10
紫陽花
「あの年の秋」「旧友再会」「ホームにて」「どしゃぶり」「ある帰郷」の5つの短編集で構成されています。父、母、妻、旧友、息子、娘といったかけがいのない人たちを描いた作品です。私としては「ホームにて」が一番好きです。サラリーマンとして頑張ってきた親父と息子の話です。イメージが自分とダブルからかもしれません。どれもほのぼのとして良い作品でした。
2023/06/20
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