思考の庭のつくりかた はじめての人文学ガイド (星海社新書 221)
思考の庭のつくりかた はじめての人文学ガイド (星海社新書 221) / 感想・レビュー
ころこ
表向き大学生に対して書かれた学問のプロトコルであり、その様に読むのが素直です。しかし、著者の改題の要素が随所にみられ、著者の仕事に興味がある一般の読者でも十分に興味を持って読んでいける内容でした。「テクストを読むようにして世界を読む人間、それが文芸批評家です」批評家不要論がいわれている中で、批評という行為の重要性を示した批評家の定義です。著者は随所にこの様な歌舞伎の見得をつくりますが、これが巻末にあるブックリストの一番手に載せている柄谷行人の所作に似ています。SNSの浸透によって「言葉にする」ことの一方で
2022/06/09
小鈴
2022年一番の本かもしれない。この複雑かつフラットな社会でどのように考え方の筋道を立てることができるのか。考える心のセットアップ、「活きた」人文系の知識をコンパクトに伝えることに成功していると思います。読書、批評、言葉、近代、歴史、芸術、すべての章が、わかりやすいのに深いところまで届きます。読んでいて面白かったのは近代、歴史、芸術です。福嶋亮大さんの見立てを知っているか知らないかで世界の見え方は変わってくると思いますよ。自分の視点を変化させ、深めるためにもオススメの一冊です。
2022/06/21
おおにし
今まで文芸評論家の立ち位置がよくわからなかったのですが、福嶋さんの”テキストを読むようにして世界を読む人”という定義で納得できました。加藤典洋さんが文芸評論家だと名乗っていた理由がよくわかりました。また「本とは適当に拾い読みするくらいでも、十分に役立つものです。」という言葉に救われた気がします。積読本の多さに苦しんでいますが、著者のいう”ぱらぱら読み”をやってみようと思います。また、「理解はしばしば遅れてやってくる」という言葉を信じて難しい箇所で挫折せず最後まで読むように心掛けたいです。
2022/12/30
chie
読みやすかったので最後まで読めたけれど、頭がついていけなかった。入門書にしては内容が濃く、この本自体「思考の庭」というイメージがよくあてはまっていると思った。
2022/08/06
Defricheur
本書のテーマである「思考の庭」とは、複数の関心事を同時に抱え込み、かつそれらに「時差」=思考の成熟度に菜がある状態を許容すること。このような思考の型は、外山滋比古『思考の整理学』や森博嗣『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』にもみられるところであり、知的生産者には共通したフレームワークであるように思われて興味深かった。
2022/08/25
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