チーム・オベリベリ (下) (講談社文庫)
チーム・オベリベリ (下) (講談社文庫) / 感想・レビュー
おくちゃん🍎柳緑花紅
のめり込んで読了。オベリベリの開拓晩成社数多く残されている資料や読み物は大半が依田勉三に注目したものだったが、作者は晩成社の中心的人物であった鈴木銃太郎、渡辺勝も没落士族の嫡男としての苦悩を抱えつつ開拓に情熱を燃やした人物として描いておきたかったと言う。そしてそれらの男達の陰に常に女達の存在があったとこを忘れてはならないと、カネを主人公に描いたとの事。立つ木々も寒さに弾け倒れる程の極寒、度重なる霜害。今年こそ来年こそと願い裏切られそれでも信仰と 共に人に教える伝えるという意欲を持ち続けたカネに魅了された。
2023/02/28
カムイ
理想に思い描く三人の男たちだが何れ破綻をするのはみえみえである依田勉三にイライラするし渡辺勝には酒飲みすぎだろうと早死にするだろうと鈴木銃太郎だけは貧しくはあったが子に恵まれ少しは幸せだったのかもしれません。唯一渡辺カネだけは信念を通し生き抜いた人であると、北海道の開拓者に焦点当てたこの物語は道民であるカムイも知らないことが沢山あり先人たちには感謝の気持ちになります。またこの物語を再読したいですね。史実では晩成社は早晩解体するこの物語にはカネの物語である女性は強いのであったとふりかえてみる。
2023/12/16
piro
毎年の様に襲いかかる霜害、冬の厳しい寒さ、そして夢破れオベリベリを去って行く人達。下巻では開拓も軌道に乗って大きな飛躍が待っているかと思いきや、相変わらず試練は続きます。行き場の無い苛立ちが募り、様々な確執が露わになって行く暮らし。そんな中でもカネの様に希望を失わず、地道に努力を続けた女性達が居たからこそ開拓は途絶えなかったのでしょう。この物語の後も彼らの苦労は続いたのでしょうが、決して無駄では無かったはず。今の帯広の街と、豊かで広大な畑の風景を彼らに見て欲しいなぁ。
2023/01/30
小太郎
それにしても明治の開拓の厳しさは大変なものだったというのが、この本を読むと実感させられます。前半に続きカネの苦労は続きます。これは小説なんだけど資料の読み込みや色々なエピソードを丹念に拾ってはぼノンフィクションと言って良いような内容です。乃南アサさんは「凍える牙」などでミステリー系かなと思ってたんですが、こういう骨太の大河ドラマも書かれるんですね。登場人物に過剰に入れ込まずに淡々と描かれている距離感も素晴らしいと思いました。あの帯広はこういう人たちの苦労の末に開けた場所だったんだと改めて思いました。
2022/09/07
DONA
大きな夢や理想を追い求める男性にただついて行くだけの女性。この時代はそれしかない時代。すぐ結果が出ないと投げだしそうになるのも男性。女性はただ支えるのみ。そんな時代。私には絶対真似が出来ない生き方です。こういう人たちのお陰で今の日本はあるんですよね。頭が下がります。
2022/11/26
感想・レビューをもっと見る