総員玉砕せよ! 新装完全版 (講談社文庫)
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総員玉砕せよ! 新装完全版 (講談社文庫) / 感想・レビュー
yamatoshiuruhashi
水木しげるの体験に基づくフィクション。とは言え9割方は事実だと言う。本書に出てくる下士官の中には「昭和史」のなかで戦後百貨店だか遊園地だかに勤め一緒に南方再訪を果たすことになる人だと思われる人物もいる。一コマ一コマに作者の執念が乗り移ったような作品。実は本作は出版当初からのあらゆる本を全て持っているが、講談社文庫の「新装完全版」ということで購入。どの本も処分しようとは思わず、全てを本棚に納めている。孫子に読ませるために。悲惨な作品。庶民として戦争に引っ張られたくはない。かと言って侵略されるのもごめんだ。
2023/02/22
十川×三(とがわばつぞう)
90%事実。歴史的な価値が高い戦地記録。戦争の残酷さは文章より漫画の方が伝わりやすい。▼戦地で左腕を失い帰国。後に日本を代表する漫画家になる。体験した日々、空気感を漫画で伝える。これは奇跡的なこと。他国では皆無だろう。もし右腕を失っていたら存在しない作品。▼ビビビビッ。ビンタされた時の音。▼ワニに食べられた兵士もいた。
2022/09/12
のぶのぶ
「軍隊というものがそもそも人類にとって最も病的な存在なのです。本来のあるべき人類の姿じゃないのです。」、実体験、実際に戦地に行き、片腕をなくし、生きて帰ってきたからこそ書ける漫画。決して、丈夫な兵隊でなく、あきらかに巻き込まれてしまったいち兵卒だからこそ、またリアル。一緒に軍隊に入らされた仲間が死んでいく。それも戦闘でなく命を落としていく。玉砕、それもちゃんと守る必要があり、そうならばまだ良いのだけれど、どうでもよいようなところで死ぬ納得できなさ。上等兵からの理不尽な暴力描写も悲しいもの。
2022/08/09
aloha0307
太平洋戦争末期南方戦線バイエン 師団全員玉砕 蛇口をひねれば水・お湯が出て(おまけに、水道水なんて飲めないなどと言ってる)平和ぼけにどっぷりつかってる己には、この惨状に全く言葉が出ない。彼ら先達のおかげでこの国があることを断じて忘れてはいけないね。
2022/11/01
寝落ち6段
水木しげる曰く「この物語は、九十パーセントは事実です。」とあるように、南方戦線で左腕を失い、生き残った人間でなければ描けない、兵士にさせられた人の最前線。職業軍人と徴集兵の意識の差、兵站のない最前線のサバイバル、昨日笑いあった仲間のあっけなくも無残な死、ジャングルの空から落ちてくる銃弾爆弾、熱病で狂う患者、仲間の遺骨集め。それを風馬牛な上層部が、玉砕の生き残りに対して「面汚し」と評する。戦争という矛盾を伝える漫画である。
2023/06/19
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