日本茶の世界 (講談社学術文庫)
日本茶の世界 (講談社学術文庫) / 感想・レビュー
ムカルナス
煎茶は江戸時代は一部の数寄者が楽しむものだったが、明治以降、国策で輸出品目になり、欧米の嗜好に合う緑色の煎茶だけを大量生産するようになる。が、結局人件費の安い中国茶に勝てず戦後には輸出市場から撤退。1960年代後半になり国内市場に特化した商品になるが飲料の多様化により20数年で早くもピークアウト。著者は煎茶至上主義の過程で失われつつある地方色豊かな番茶や釜炒り茶の復権を願う。実際、淹れ方の難しい煎茶は美味しいと思ったことが数えるほどしかない。今後お茶市場は変わっていくのではないだろうか。
2022/09/15
鴨の入れ首
日本茶の歴史と、2000年代の茶産地の現状(当時)を憂えた解説書です。資本主義が高度に進んだ今、日本茶を取り巻く状況は本書が出たとき以後もっと厳しくなっていると思われます。日本茶の奥深さに感嘆すると共に、お茶の多様性を保持するためにわたしたち消費者に出来ることはないのかと考えさせられた本でした。大変興味深かったです。
2024/04/04
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