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希望の糸 (講談社文庫)

希望の糸 (講談社文庫)

希望の糸 (講談社文庫)

作家
東野圭吾
出版社
講談社
発売日
2022-07-15
ISBN
9784065286180
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希望の糸 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

近刊の『魔女と過ごした七日間』で100冊に達した東野圭吾だが、それはやはりエンターテインメント作家として並外れた力量を示すものである。本作においてもマンネリに堕することなく、プロットも人物造型も相変わらず魅力的である。殺人の動機は幾分弱いように思うが、それでも3組の(綿貫と多由子の幻のそれを含めれば4組)親子を配して、それぞれの葛藤を描きながら、その絡み合いの中にメインプロットを構成してゆく手腕は、まさに練達というほかはない。さりげなく加賀恭一郎を登場させるあたりも、読者の取り込みの上手さの表れだろう。

2023/10/24

Tetchy

どんな家族にも過去があり、歴史があるが、本書はまさにファミリー・ヒストリーを扱ったミステリ、いやファミリー・ヒストリーこそがミステリであることを謳った作品だ。愛し合いながらも一緒になれない男女がいる一方、別れたくても別れられない男女もいる、そんな妙な絆がこのようなヒストリーを生み、そしてミステリを生んだ。男女の機微、夫婦の機微、そして親子の、父と娘、父と息子、母と息子、母と娘との機微を丹念に積み重ね、明かされてみれば誰もが納得しながらも、胸を打つ真相を披露するその筆致はもはや練達の域に達している。

2023/12/04

イアン

★★★★★★★★☆☆家族の絆を描いた加賀恭一郎シリーズ第11弾。喫茶店を経営する女性が殺された。意外な人物の自白により事件は解決するが、捜査一課の松宮はその背景に15年前のある出来事が関係していることに気付き…。なぜ彼女は10年前に別れた元夫に連絡を取ったのか。「赤ちゃんにとってお母さんとの対面は人生における最初の巡り会い」という彼女の言葉を、しっかりと意味を持ってストーリーに組み込んでいる点に上手さを感じる。いくつもの誤解が招いた悲劇。でもそれ以上に、次代へ紡ぐ『希望の糸』の尊さを強く感じる作品でした。

2022/07/28

タツ フカガワ

自由が丘のカフェでオーナーの女性が刺殺され加賀、松宮が捜査にあたる。まもなく被害者の元夫と、彼女に想いを寄せていたというカフェの客だった男が捜査線上に浮上。同じころ松宮に、幼いころ火事で死んだと聞かされていた父親が今死の床にあると知らされる。前作から3年後という本作は、加賀が脇に回り松宮が主人公の、加賀シリーズ番外編のようで、終盤、“希望の糸”が繋ぐ親と子のドラマに思わす落涙。電車内読書には注意本です。

2022/09/17

ふじさん

小さな喫茶店を営む女性が殺害された。加賀と松宮が捜査を進めて行くと彼女の不可解な行動の先に一人の少女の存在が浮上する。体外受精の受精卵の取り違いによる悲劇が、次第に明らかになる。一方、刑事の松宮にも、思いもよらない事実が明らかとなる。似た状況に置かれた一人の少女と松宮の葛藤が始まる。今回の作品は、事件の真相解明よりは、そこに隠された真実を丁寧に描くことで、家族愛や親子愛にスポットを当てた人間ドラマになっている。辛い設定の作品だが、最後にに希望が垣間見え、読後にはほのぼのとした温かい気持ちにさせて貰った。

2022/10/12

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