太陽諸島
太陽諸島 / 感想・レビュー
starbro
以前から気になっていた多和田 葉子、初読です。本書は、アイロニー&メタファーに溢れた近未来日本消滅世界小説、本年のBES20候補です。個人的には、公用語はバンスカ語ではなく、エスペラント語およびそのエリアの独自言語で、ゆるやかな世界連邦を望んでいます。主人公のHirukoが私の地元新潟出身だとは思いませんでした。 連作長篇三部作の完結篇ということなので、第一部、第二部も読んでみたいと思います。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000369071
2022/12/18
KAZOO
多和田さんの最近作で「地球にちりばめられて」「星に仄めかされて」に続く三部作の最終作です。前2作は忘れてしまっていますが、簡単な「ガイド」と人物紹介があり参考になります。さまざまな国の人がひとつの舟に乗りバルト海を航海して極東を目指します。そのあいだのやり取りが非常にわかりやすい言葉で語られます。本当に多和田さんの文章は読みやすくすらすら読み進めることができます。これもドイツ語で出版されているのでしょうか?ノーベル文学賞を是非取ってもらいたいですね。
2022/11/26
どんぐり
Hiruko、クヌート、アカッシュ、ナヌーク、ノラ、Susanooの5人。言葉で結びついた仲間たちとの船の旅。コペンハーゲンからバルト海沿岸を東にたどる。東は太陽が這い上がり、記憶を目指す旅。シベリア鉄道に乗れば、大陸の東の果てに着く。海への出口を持つ国の海岸線は短い。「ユニクロとウニクロ」「ウニとクロ」「ウサギとウニ」「サギとワニ」「ワニと罠」の言葉遊びも終わる。いよいよフィナーレ。
2024/10/10
榊原 香織
3部作の最終巻(それともまだ続く?)。3作とも面白かった。1作目の新鮮さは薄れたけど。 冠詞についての議論とか、言語学小説といおうか。 今話題?のロシアの飛び地、カリーニングラードも出てくる。 登場人物ではアカッシュが好きだな
2024/03/01
チャーリブ
Hiruko三部作(勝手な命名です)の完結編。消えた日本を探す船旅に出たHirukoたち6人ですが、なせかバルト海を東に進んで沿岸の諸都市を訪ねます。ロシアの飛び地・カリーニングラードで、ウラジオストック出身の男性教師がロシア人のヨーロッパへの憧れと不安について語っています。ロシア人の「誇りを傷つけられるなら我が道を行く」という考え方に対して「我が道などない。旅は道連れです」とHirukoの仲間が応えるところが象徴的です。言語と同じくひとつの国家に囚われない生き方の可能性を指し示す作品となっています。○
2022/12/24
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