ifの世界線 改変歴史SFアンソロジー (講談社タイガ)
ifの世界線 改変歴史SFアンソロジー (講談社タイガ) / 感想・レビュー
★Masako★
★★★★☆もしあの人物、あの時代背景がこう変わっていたら…5名の豪華執筆陣による改変歴史SFアンソロジー。好みは、和歌を英訳するのが当たり前の平安時代を背景に、式子内親王の切ない思いを繊細に描く斜線堂有紀さんの「一一六二年のlovin’life」、巨大な石壁が築かれた江戸の秘密をミステリ&SFで解き明かす小川一水さんの「大江戸石廓突破仕留」、伴名練さんの「二○○○一周目のジャンヌ」は圧巻!20001回も処刑寸前までをループするジャンヌ・ダルクの心理と行動の変化の描写が見事!"タイガ”を侮るなかれ(笑)
2022/11/04
泰然
五人のSF作家の頭脳明晰な筆裁きが読み手を翻弄する「偽歴史」の短編集。誰かが言った「嘘も百回言えば真実となる」かのような物語(ナラティブ)の膨張性と空想科学の融合が、洋の東西で歴史と人間の内面と哄笑を描く。死ぬまで踊り狂う奇病に襲われるナポリと治療にあたる哲人テオプラストスの奇策から話は始まり、ガンズのジャングルにようこそ風な本作の波瀾万丈な世界観へと誘う。宮内悠介の描く1965年の国産SNSによる世界初の炎上事件は才気爆発で、開高健を自己責任論の陰謀へ巻き込む。SFの文明論考精神が粒揃いの小憎さが満載。
2022/12/16
ひさか
小説現代2022年4月号石川宗生:うたう蜘蛛、宮内悠介:パニック-1965年のSNS-、小川一水:大江戸石廓突破仕留、伴名練:20001周目のジャンヌ、10月号斜線堂有紀:1162年のlovin'life、の5つの改変歴史SFアンソロジー。歴史改変に違いはないが、いずれも小ネタアイデアをもとにしたかなりぶっ飛んだ話ばかりで、ちょっとノリきれなかった。残念。
2023/01/15
よっち
歴史は変えられる―物語ならば。色とりどりのifの世界に飛び込む石川宗生・宮内悠介・斜線堂有紀・小川一水・伴名練の五人による珠玉のSFアンソロジー。奇病が蔓延したイタリアで錬金術師が披露した奇天烈な治療法、「ピーガー」というSNSが存在した一九六五年の日本で起きた世界初の炎上事件の真実、和歌を詠訳する平安時代で歌人・式子内親王が出会った一人の女房、巨大石壁・大廓ともうひとつの江戸時代の事件、ジャンヌ・ダルクが何度もやり直すことで垣間見せる様々な可能性。どの話も著者さんらしさがよく出ている面白い短編集でした。
2022/11/22
rosetta
★★★☆☆宮内悠介目当てで読んでみたけど他の作家さんもなかなか工夫を凝らして面白かった。元の歴史を知らないとどう改変されたか分からなくて楽しめないのもあるけれど。和歌を英語で読み上げなければならない斜線堂作品、日本から地震がなくなり江戸が石造りの街になった小川作品、1965年ベトナム取材中の開高健が行方不明になりSNSで炎上した宮内作品、ジャンヌ・ダルクの処刑の一日を何度もシュミレートする伴名作品。どれも良かった
2023/01/11
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