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ケチる貴方

ケチる貴方

ケチる貴方

作家
石田夏穂
出版社
講談社
発売日
2023-01-26
ISBN
9784065303580
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ケチる貴方 / 感想・レビュー

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いっち

タイトルから、ケチな旦那の批判話かと思ったが、違った。ケチなのは主人公。主人公は、備蓄用タンクの設計と施工を請け負う会社に勤める7年目の女性で、新人の指導員を担当する。総合的にケチな主人公。ケチは身体機能にも関連する。「筋肉も脂肪も豊富でありながらいつも寒がっている在り方。食べても食べても熱に変換しない在り方」。主人公は寒がりだが、ケチでなくなったとき、体温が上昇する。体温上昇のために、関係のない仕事を手伝い、嫌な依頼を引き受け、出さなくてもいい金を出す。体温上昇の奴隷と化した主人公の、行く末だけが残念。

2023/02/18

NADIA

とんでもないレベルの冷え性に悩む女と、脂肪吸引を繰り返す女が主人公の2編の短編。ストーリー的な面白さよりも、文章力に圧倒された。すごく面白い!! この作家さん、追いかけて行こうと思う。

2023/11/14

ちゃちゃ

私たちの心は、程度の差こそあれ、いかに身体の影響を受けるか。皮肉をユーモアで包みながら、やや自虐的(戯画的)に描いた快作。二話の短編、『ケチる貴方』は極度の冷え性に悩まされる女性、『その周囲、五十八センチ』は痩身願望から脂肪吸引依存に取り憑かれた女性が、涙ぐましい努力を続ける日常がモノローグで語られる。特に後者は、肉体による支配や「見た目」で判断する世間の目から、私たちがいかに逃れられない存在であるかを、鋭く掬い上げて印象に残る。「人は内面だ」と平然と言い放つ世間。その無邪気さに風穴を空けた痛快な作品だ。

2023/11/29

シナモン

「ケチる貴方」人に優しく寛容な心で接すれば、気持ちも温かくなり冷え性も改善されるーなんて面白い発想。人間の本音の部分をときに面白おかしく、ときにズバッと。軽快な文章が心地良い。昔より冷え症がマシになった私。年を取って寛容力が少しは身についてきたからか。 「その周囲、五十八センチ」 脂肪吸引ってこんなに痛いのか。エスカレートしていく様子が怖い。 石田夏穂さん、やっぱり面白い!

2024/09/17

ネギっ子gen

【脚の問題というのは、即ち人生の問題である。これはこの世に存在する数少ない真実だ。脚が太いと、人生はものすごく難易度が上がる】表題作など2篇。前者は「冷え性」、後者は「脂肪吸引」を――。“身体”に着目したところを高く評価したい。「その周囲、五十八センチ」の、拒食症になった記述が刺さった。<かつてない身軽さに狂喜乱舞した。痩せ過ぎによる目の隈だけは悩みの種だったが、私は2か月ものあいだ雀の涙以下の食生活を貫いた自分を祝福したい気持ちで一杯だった。体重計から下りた私は、身体中に力が漲っていた>。わかります!⇒

2023/08/31

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