飽きっぽいから、愛っぽい
飽きっぽいから、愛っぽい / 感想・レビュー
どんぐり
母親ひろ実さんの本を読んだあとの娘奈美さんのエッセイである。弟がダウン症で生まれ、中学2年生のときに父親を亡くし、高校1年生のときに母親が病気で下半身麻痺になった岸田家。健康だった父親が急性心筋梗塞で突然亡くなり、最期に会話した言葉が「パパなんか、死んでしまえ」だったが、意識を失う直前に父親が母親へ残した「奈美ちゃんは、大丈夫。俺の娘やから、大丈夫や」、呪いの対象は父の病気ではなく、愚かな私だったという〈筆を伸ばす、私を思う@西宮浜〉。→
2023/10/16
ででんでん
奈美さんの文章は楽しい。それだけではなく、心をゴリゴリと削り取ってもいく。笑かされながら、ドキッともする。一度「ニュースおかえり」も観てみなくては(笑)「機嫌が良いときをしっかりと探して、口に出さない言葉にこそ、目を向けたい」「毎日は終わりの連続でできている。ただ、目に見えないから、考えようとしないだけで。終わりは止められない。でもせめて、終わりをきちんと仕舞うか、そのへんに捨てるかは、わたしだけが選べる。」
2023/06/23
sayuri
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった +かきたし』で、すっかりファンになった岸田奈美さん。本作も良かった。1991年生まれ、まだ32歳の若さで、途轍もなく辛い経験をされて来た奈美さんから紡がれる言葉は、真摯で温かく時に切ない。お父様を13歳の時に亡くし、車椅子のお母様と、ダウン症の弟さんとの暮らしが大変な事は想像に難くない。けれどそこに悲壮感はなく、苦しみさえ笑いに変える奈美さんから元気を貰える。ひとつひとつのエピソードに笑いと涙と愛がある。人間力が高い彼女を素直に見習いたいと思える一冊。
2023/08/31
れっつ
岸田奈美さんの体験や所感を"場所"別に思い起こして綴られたエッセイ集。家族との密度の濃い思い出が中心なのが奈美さんらしく、それが現在も彼女を形作っていることがひしひしと伝わってくる。「エッセイを書くというのは、大切な人と出会いなおすことに近い。」と書かれた通り、子どもの頃の記憶から、自分や家族の思いが時を経てわかるくだりは感慨深い。今更ながら、家族や出会った大切な人とは普段から気持ちを伝え合っておくことがとても大事だと思った。奈美さんの軽快な筆致の中に、自分にとっての光る2行が沢山見つかるおすすめの1冊!
2023/05/03
くれよん
岸田さん家族の事をエッセイで読んでいるから大変な事のはずなのにユーモアでもって笑い話しにしたり何でもない日常のように書かれている。みんないい人、家族が支えあっているから辛い事も笑って過ごせるのかな。
2024/03/30
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