この場所であなたの名前を呼んだ (講談社文庫 か 141-2)
この場所であなたの名前を呼んだ (講談社文庫 か 141-2) / 感想・レビュー
のぶ1958
読んで良かったです。NICU(新生児集中治療室)で働く医師、看護師、臨床心理士などそれぞれの視点で描く連作短編集。よくあるストーリーではありましたが、誇張や矮小なく新生児治療へ従事する人たちの献身的仕事ぶりや命を敬う気持ち、それぞれの家庭を巡る苦悩などが率直に描写されています。各章ごとの登場人物が名だけで表現されるところがあって、繋がりが判りにくい部分ありましたが、あらためて医療関係者の方々への尊敬の気持ちと幼い命の尊さが身に沁みます。
2024/06/30
たっきー
NICUを舞台とした連作短編集。一般的な産科と比べてシビアな状況にある母子の命を守ろうとさまざまな立場の人間が働く場所。印象的だったのが、看護師の朋子と麻美のやりとり。面会に来ない母を非難する麻美に対し、朋子が「逃げてるって決めつけちゃダメ」、「他人が決めつけられることなんて、何一つないと思うわ」。相談支援をやっていくにあたって、戒めとしなくてはと思った。
2023/09/15
takakomama
図書館の福袋(テーマは「命が生まれる場所で」)に入っていた本。NICU(新生児集中治療室)に関わる人々の連作短編集。私自身が生まれた時に保育器のお世話になり、息子も小さい頃は喘息だったので、医療従事者の方々には感謝ばかり。無事に妊娠、出産すること、子供が元気に育つことは当たり前のことではない。出生前診断など医学が進歩して、迷いや不安、悩みが増えたかもしれませんが、母は強し。子供を看取ることになっても、私のところに生まれてきてくれてありがとう。
2023/12/21
JUN
大人になるにつれて忘れていくことだけど 死ぬまで忘れちゃいけないこと。
2023/08/14
Dolphin and Lemon
NICU(新生児集中治療室)で働く看護師、医師、清掃員、臨床心理士や患者(赤ちゃん)のお母さんなどの視点で書かれた連作短編集。ただ、NICUを舞台した物語というよりそれぞれの生活や葛藤などが主題となっている。どの作品もとても好きだけどやはり病気がわかっていながら出産をする親のお話、最後の医師の話が印象的だった。前者は短いながらもどんな子どもでも自分の子どもは愛おしいという愛情を、後者は将来に悩む医師の姿に共感した。 重いテーマも含まれているけれど表紙のように全体としては暖かい物語。ぜひ読んで欲しい。
2024/02/04
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