ゴースト・ライター (現代の世界文学シリーズ)
ゴースト・ライター (現代の世界文学シリーズ) / 感想・レビュー
明石
著者ロスが自身の分身として生み出した「ザッカーマン」の初登場作品。小説家を志すユダヤ人青年が、ホロコーストを生き延びた(かもしれない)アンネ・フランクと出会い、彼女との結婚を目論むという、ありそうでありえない話。この作家さんは人間の心理を語らせると超一級ですね。同じくユダヤ人作家のオースターが「あなたにとってユダヤ人であるというのはどういうことか?」と訊かれた際、人とは違っていることだ、と答えてましたか、ロスの場合もそういう「普通」になれない境遇が、他者の心理を覗き見、分析する才に一役買ったのでしょうか。
2022/02/11
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構成がにくい。状況を描いてから何故そこに至ったのか後から徐々に明かされるので、種明かしを見せられたような軽い驚きが心地よくスルスル読み進めてしまう。怒りの感情を伝達してくるも上手くてこっちまで理解のない家族に腹が立ってくる。ところがである。そんな風にご機嫌で読んでいると作者は思わぬ陥穽を仕掛けてくるのだ。トンでもな展開になってアゴがおちてしまう。そして、なんじゃこりゃ?とバカげた成り行きに鼻白んでいると、読者のあざけりもお見通しとばかりに正常な物語に接続してきて唖然とする。なんてやつだ!
2020/02/18
勉誠出版営業部
フィリップ・ロスの『ゴースト・ライター』を読了。いわゆる「ザッカーマン」シリーズの一作。このネタはユダヤ系だからこそ書けるような…。
2017/08/16
youtom
後書きが素敵。心配しなくてもロスはとんでもないところまで来ましたよ、青山さん。
2011/05/24
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