失われた時を求めて(2) 第1篇 スワン家の方へ 2
失われた時を求めて(2) 第1篇 スワン家の方へ 2 / 感想・レビュー
扉のこちら側
初読。2015年1050冊め。【58ー2/G1000】1巻第一部のコンブレーの物語から、第二部は語り手が生まれる前後のスワン氏の恋愛話になる。ヴェルデュラン夫人(作中で顎が外れていてお気の毒…苦笑)のサロンが舞台で、一流貴族の社交界からはちょっと外れている人たちだが、名門の出のスワン氏は高級娼婦オデットに近づくためにサロンに出入りする。恋愛関係になるもスワンを裏切るオデットにいらいらし、愛情が薄れながらも結婚するスワンの気持ちもよくわからなかった。当時のフランスでは驚くことにショパンが流行遅れと 続
2015/09/12
白のヒメ
「スワンの恋」は主人公の家に昔出入りをしていたスワンの若い頃の恋を。「土地の名、名」では主人公の幼い頃の恋の思い出が語られる。どちらも良家の子息で気が弱く、お人よしの印象を持つ。大概こういったひ弱な男性が好きになる女性というのは、そういう男性には目もくれないものだが、スワンも主人公も叶わぬ自分の苦しい思いに焦がれる気持ちが吐露されて物語になっている。そのひ弱な苦しさを共感にまで持ってこさせる表現の巧みさには唸ってしまった。心理描写に情景描写を絡ませる美の精緻にも舌を巻く。確かに、他にない小説だと思う。
2014/09/20
NAO
「スワンの恋」は、語り手の一人称で書かれているこの作品の中で、唯一三人称で書かれている章。スワンとオデットの恋の象徴となっているカトレアが、何とも生々しく艶めかしい。植物の香りや色彩に敏感なプルーストは、本当に繊細な神経の持ち主だったのだろう。この巻では、ヴェルデュラン家のサロンの様子を描いた後、貴族の邸宅での夜会が描かれ、その違いが描き分けられている。それにしても、レ・ローム夫人の髪飾りを即座にコンブレーの象徴であるさんざしの実に例えて褒めるなんて、スワンはスノッブで気障だなあ。
2015/07/21
夏子
回りくどい文体にも大分慣れてきた第2巻。 スワンのオデットへの熱烈な恋というか病気のような執着が描かれていて、しょっちゅう色んな所へ時代や話題が飛んだ1巻より読み易いです。前に語られた人名や地名が思わぬ所で繋がったてきたりして(注釈でやっと気づくのですが)長編の面白さを感じています。作中コタール夫人の語る、当時話題になっていたお芝居に出てきたという「日本ふうのサラダ」が妙に気になります・・・
2015/08/26
solaris
20世紀最高峰文学、第2巻。第一巻のコンブレーでの少年期「私」の時代から、コンブレーでも登場したスワンとスワン夫人の馴れ初めと、スワン氏の熱狂的な恋の話に突如変わる。19世紀末の資産家達の社交界での話が、永遠とも言えるほど続く。社交界の中での、称賛、侮蔑、嫉妬、人の欲望があからさまに描かれ、いわばどうでもいい会話や詮索や脇役達の描写が多く、心が折れそうになる。これは夢の中の寓話。私達が普段気付かないけれども、周囲に流れ過ぎていく世界の潮流、何だなと。一文一文を丁寧に読むと血が通った文体であることが分かる。
2024/01/20
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