失われた時を求めて(5) 第3篇 ゲルマントの方 1
失われた時を求めて(5) 第3篇 ゲルマントの方 1 / 感想・レビュー
扉のこちら側
初読。2015年1055冊め。【58-5/G1000】語り手家族が引っ越し、ついに「ゲルマントの方」が明らかになっていく。社交界の描写になじみがなく、注釈を絶えず見ながらなのでページを繰る速度は遅くなる。語り手はゲルマント侯爵夫人に恋して散歩道で待ち伏せしたりするも、実際にお近づきになると「思ったよりときめかなかった」という感じで、恋に恋するというか、妄想力が強いというか(前から思っていたけど)。シャルリュス男爵、要チェック。P413に「武士に二言はない」というのが出てきて、その訳が引っかかる。武士?
2015/09/15
白のヒメ
当時の社交界、貴族。人間自身よりも、家系、地位、名誉、評伝という因子に重点を置き、全ての価値観を決める独特な世界。ドレーフュス事件(ユダヤ人大尉の冤罪事件)に対する価値観で、その当時の社交界は揺れたようだけれど、それだって結局、自分自身がどう思うかではなく、自分の家系、血筋、地位がその事件をどう思うかで思想の派閥が決まるのだ。当時のフランスの貴族の間では、真剣だけれどこんな滑稽な価値観がまかり通っていたというのが、この五巻で読み取れて面白かった。電話が普及し始めていた事に関する、「聴覚」の表現も面白い。
2015/03/31
NAO
ゲルマント邸内にあるアパルトマンへ越した語り手一家。サン・ルーの紹介で出向いたヴィルパリジ侯爵夫人のマティネでは、人々はドレーフェス事件に対する考え方や相手の出自を判断基準にし、排他的。社交界の婦人たちの、隙あらば相手を出し抜こうとする滑稽なまでの対抗意識を描くプルーストの、なんという辛辣さ。こうして語り手がついにゲルマント公爵夫人と親しなり社交界へと足を踏み入れていくようになった陰でひっそりと祖母が亡くなるという構図も、なかなか印象深かった。
2015/08/08
ナハチガル
【『失われた時を求めて』読破マラソン】ドレフュス事件の持つ重要さがいまひとつピンとこないので、読むのがしんどい部分も多々あったが、気が向いたときに手にとり、数十篇の短編を読むような楽しさがあった。一番印象に残ったのはサン・ルーのパンチ。それにしてもサン・ルーっていいやつだけど、一途とかいじらしいを通り越して、失礼ですけど、バカ?でもそれは誰もが持つ一面でもあることをつきつけられてもいるのだ。「いいかい、ぼくにとっては、すべて彼女にかんすることは偉大なんだ。それはほとんど宇宙的な広がりを帯びているんだ」A+
2017/02/06
夏子
憧れのゲルマント夫人に近付くために人脈を駆使して貴族側の社交界へ入ってゆこうとする主人公の執着がなんだか凄い。別冊の「プルーストの手帖」はオペラ座がパリに住む人々にとってどの様な物だったのかという事が解説されていてとても面白かった。
2015/11/08
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