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失われた時を求めて(8) 第4篇 ソドムとゴモラ 2

失われた時を求めて(8) 第4篇 ソドムとゴモラ 2

失われた時を求めて(8) 第4篇 ソドムとゴモラ 2

作家
マルセル・プルースト
鈴木道彦
出版社
集英社
発売日
1999-01-22
ISBN
9784081440085
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失われた時を求めて(8) 第4篇 ソドムとゴモラ 2 / 感想・レビュー

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扉のこちら側

初読。2015年1071冊め。【58-8/G1000】ブリショさんの地名うんちくでお腹がいっぱいになってくる。仏語が全くわからないからこの辺りは読むのが辛い。物語の方は語り手とアルベルチーヌの恋愛関係によりスポットが当たる。第三章では愛情と嫉妬、倦怠がないまぜになって彼女との結婚など考えられないという結論になるが、第四章では彼女と「ヴァントゥイユ嬢の女友達」との同性愛関係を匂わせる話に嫉妬し、彼女を他の人に渡すまいと結婚を決意する。嫉妬によって結婚を決意というのはわかるけれど、(続

2015/10/11

白のヒメ

当時のフランスでは「ユダヤ人」「同性愛」は禁句だったのだろうけれど、この物語の語り手である「私」は、もしかしたらユダヤ人であり、同性愛者であるのではないだろうかと8巻になって思う。どちらに対しても嫌悪感を募らせるような言動を取ったかと思うと、それを庇護するまではいかなくても、罵倒することに逡巡を垣間見せる気がするからだ。アルベルチーヌに対する同性愛者ではないかという疑いが主人公に抱かせる不可解な嫉妬も、そう考えてみるとあながち異様ではないのかもしれない。しかしサロンの社交の様子の冗長で退屈な事ったら。

2016/03/03

NAO

美青年モレルとともにヴェルデュラン夫人のサロンに足を運ぶようになったシャルリュス男爵の性癖は、もはや誰の眼にも明らかになっている。彼のモレルへの狂おしいほどの執着心は、あまりにも痛々しい。アルベルチーヌについては、彼女がヴァントゥイユ嬢と交流があることが明らかになり、それが語り手を狼狽させる。1巻で描かれたコンブレーの情景の中に描かれていたヴァントゥイユ嬢の行状が、ここにきて大きな影を落とす。長大なストーリーの中に緻密に配置された伏線は、プルーストのこの作品にかける思いの強さ、深さを感じさせる。

2015/09/13

ナハチガル

シャルリュス氏の醜態、ヴェルデュラン夫人とカンブルメール夫人の確執、アルベルチーヌへの「私」の感情のゆらぎなど、さまざまなエピソードが描かれる中、現実や記憶や自分の存在がいかに不確かなものであるかが語られる。「私はむしろ脳に変化が起こるたびにそこには断片的な死があることを指摘したい」。カンブルメール氏の鼻の描写が印象に残った。辛らつで皮肉たっぷりな著者の真骨頂である。「かぎ鼻で、つやつやと光っていて、できたてのほやほやといったこの鼻は、目に精神が不足しているのを埋めあわせようと身がまえていた」。A。

2017/07/30

kinka

そろそろこの長大な小説の全体が見えてきて、繋がってきた感のある第4篇後半。海辺のリゾートに再び訪れた語り手、だがここは既に神秘の地ではなく、訪れる場所や人にも飽いている。コンブレーでの美の啓示は今や遠く、パリの華やかな社交界にも幻滅した。それでも彼は、無為としか思えない社交や、身になりそうもない恋愛遊戯を続けるのだ。メンターだったスワン氏や祖母は去り、エレガントな貴族達も没落の色が見え、恋愛沙汰で身を落としていくシャルリュス氏の描写は、語り手のそれと対になっている。お前調子こいてるけど、明日は我が身だぞ。

2015/10/22

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