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失われた時を求めて(11) 第6篇 逃げ去る女

失われた時を求めて(11) 第6篇 逃げ去る女

失われた時を求めて(11) 第6篇 逃げ去る女

作家
マルセル・プルースト
鈴木道彦
出版社
集英社
発売日
2000-03-17
ISBN
9784081440115
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失われた時を求めて(11) 第6篇 逃げ去る女 / 感想・レビュー

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扉のこちら側

初読。2015年1074冊め。【58-11/G1000】副題通り、語り手とアルベルチーヌに訪れる決定的な別れ。この巻は二人の別れにまつわる気になる名文が多かった一方で、巻半ばでもう彼女のことを忘れている語り手の薄情さが際立っているとも思う。本筋と関係ないところでは、作中にシャープペンシルが出てくるがこの時代にもうあったのだな、と。

2015/10/12

NAO

語り手がアルベルチーヌの帰宅を画策している間に、アルベルチーヌは不慮の事故で亡くなってしまう。語り手が死後もアルベルチーヌの行動を執拗に調べるのは、嫉妬からというより、そうすることでのみアルベルチーヌとつながっていられるからだ。それでも、心の傷もいつしか癒え、彼女への愛も消えていく。この巻は、語り手の愛が忘却の彼方へと消えていく過程を描くとともに、見る人によって全く違う側面を浮かび上がらせるアルベルチーヌの多面性をも描いている。人は誰でも、誰かのすべてを知っているというわけではないのだ。

2015/10/16

kinka

この小説を読んでいると、決め付けとか、紋切り型とか、つい陥ってしまう日常の罠に気づかされて足元が竦む。死して尚、多様な面を見せるアルベルチーヌ、サニエットに年金を出してやるヴェルデュラン夫妻、実は舞台美術の天才を持つ「さんざん」君、語り手の知らなかった罪を告発されるサン=ルー。人の側面は一つじゃないし、見方によっても変わる。そして更に厄介なことに、人を見ているこの「私」ですら、今日の私であり続けることはないのだ。多面的であり、常に変化し成長したり退化したりもする、こんなものを言葉に固定することの難しさよ。

2015/12/06

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