化粧/岬(芥川賞受賞作)/枯木灘(毎日出版文化賞受賞作)/覇王の七日 中上健次全集 (3) (中上健次全集)
化粧/岬(芥川賞受賞作)/枯木灘(毎日出版文化賞受賞作)/覇王の七日 中上健次全集 (3) (中上健次全集) / 感想・レビュー
nina
熊野をめぐる12篇の短篇集である『化粧』と「秋幸サーガ」に連なる『岬』『枯木灘』『覇王の七日』を収録。揺るがないはずの死も時も異界との接続域である熊野の地では曖昧模糊としていて、生者なのか死者の魂なのか、はたまた化生のモノが見せる幻影なのか、行きあった男を手にかけても女をいく度もいく度も嬲り姦しても、罪であるはずのそれらの感触は手のひらに掬った水のようにただその気配だけを残していつの間にか消え失せる。路地の視線に炙られ、わが血を憎み、わが血を犯し、わが血を殺める男の苦しみと昂りとともに何度も蹌踉めいた。
2014/04/20
みみみんみみすてぃ
★四つ。「岬」、「覇王の七日」などを読んだ。付録の解説の柄谷行人によると、「化粧」も「枯木灘」や「岬」などにおける秋幸が出てくる物語を(執拗に)反復したものとなっているらしい。この柄谷の解説だけでも非常に読む価値が高いかと思われる。ビートたけし、坂本龍一などの著名人が中上健次についてエッセイを寄せている。「覇王の七日」も、秋幸が出てくる物語なのだが、非常に断片的で、小説というよりアフォリズム的な散文で、長編では味わえない中上のエクリチュールが披露されている。
2016/02/12
ほっち
※『枯木灘』を読み終えた流れで、『覇王の七日』を読む。
2013/09/07
ヤマダ キヨシ
☆☆☆
2013/09/05
火
いろいろあって読むのに半年以上かかった本。とりあえず挙げるべきは、息苦しさが常に漂う「岬」なのだろうが、とにかく反復を重ねる「枯木灘」がある意味すごい。起承承承承承承承転結ぐらいの割合で描かれる本作は、冗長で退屈な「岬」の蛇足的作品と評することは簡単だが、風変わりな人間関係の日常を描き続けることで登場人物に実在性を持たせ、その上で強烈な事件を叩きつけていくその作風はかなり異常なのではないか。それゆえに興味深い作品ではあった。
2020/10/14
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