いつか あなたを わすれても
いつか あなたを わすれても / 感想・レビュー
starbro
桜木 紫乃は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者初の絵本は、母娘孫三世代が認知症に向き合う大人絵本でした。色々と考えさせられます。 https://kids.shueisha.co.jp/sp/itsukaanatawowasuretemo/
2021/03/29
いつでも母さん
「もしも いつかあなたを わすれる日がきても わすれてしまう あれもこれも みんな なかったことでは ないのだから あんしんしてね」鬼娘の私でもやっぱり泣ける。いつか来る『その日』までの長い、長いさよならの準備期間の今だから。いつか来る私の『その日』に向けた息子に残す沁みる絵本。私がかつて少女で娘だった頃、私の『さとちゃん』は身近に居なかった。曾祖母がいて、いつも着物でまるで置物のように「ちょこん」とそこに居た記憶がある。今は情報が溢れていて学びとして理解するけれど、心は愛した記憶でいっぱいに決まってる。
2021/04/21
ウッディ
認知症になり、記憶を失っていく母とそれに違和感を感じる幼い娘。さとちゃん(祖母)が自分の事をママと勘違いし、ママの事を親切な他人だと思い込んでいる、そんな事実を丁寧に、優しい言葉で伝えようとする物語でした。さとちゃんの記憶は消えゆこうとしていても、一緒に過ごした楽しい思い出は未来の灯になる。みんなの事を忘れる日は、お別れを怖がらず、悲しまずにすむ日になる。だから、いつか自分がさとちゃんのようになっても、悲しまないでほしいという母のメッセージが心に響いた。
2021/09/28
シナモン
とても良かったです。老いていく親とのこの先を思うと不安になることも多かったけど、この本を読んで心の持ち方が分かったような気がして少し安心できました。「もしも いつかあなたを わすれる日がきても わすれてしまう あれもこれも みんな なかったことでは ないのだから…」「さとちゃんがみんなのことをわすれる日は わたしたちとのおわかれを こわがらずに かなしまずに すむ日」…今このときを大切に、思い出の荷作りをしながら「ながい ながい さよならの じゅんびをする」心に留めておこう。
2022/09/08
あすなろ
家族じまいを描いた桜木氏の印象的な掌篇とオザワ氏との絵。所謂絵本なのである。対象は大人なのか子供なのかYAなのか。そんなことは何方でも良い。題名のいつかあなたをわすれても、は読了後、胸に沁みる。順繰りに我々は我々関係者との記憶を失くしていくことが絵と共に描かれる。忘れ行くことはサヨナラする時に寂しくない為。でも今、この時を1人1人一生懸命生きている。だから、今この時だからこそ得られる倖せを味わって欲しい、ということかな。そして、順番は何れ我が身にも訪れる。その性みたいなものを理解しなきゃ、ということか。
2021/07/04
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