異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女 (コバルト文庫)
異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女 (コバルト文庫) / 感想・レビュー
ちはや@灯れ松明の火
聖らかな花に託して、獣の皮に潜ませて、画布に散りばめられた図像は文字よりも声よりも深く胸の奥へと語りかける。港町に佇む異人館画廊、孫を案じる祖父が遺した謎の欠片。人が隠し持つ心までは読み取れない。早春の光がおどるテラス、紅茶と共に嗜む話題は死を招く絵画の在処。慇懃な態度になぜ苛立つのか解らない。対となる愚者の船二艘、崩れゆく家族を愚かだと嘲笑うかのように。塗り潰された記憶と感情、言葉の切れ端に熱がにじみ出ているのに。まだ何も解き明かせない、そっけない横顔に浮かんだ暗号も、それを辿るのをためらう気持ちも。
2015/10/04
ももたろう
なんなんだ、このジレジレ感は~~!!頭のいい、知的な方の恋というのは進展がもどかしくて良いですね~(^^)主役の二人が恋愛面でなかなか動かない代わりに、まわりが良い動きをしてくれます。特に京一兄さんナイスタイミング!!グッジョブです!!透磨は何気に大人げない所が好きです。千景につっかかれるのが好きって中学生男子か!敬語でからかってる所とか、京一を意識してる所とか時折見せるせつない表情とか笑顔とかが良いです。瑠衣さんお蝶婦人を知ってるって何才なの?!カゲロウさんも謎だ。男なのか女なのか実在しているのか?
2015/09/03
よっち
英国で図像学を学び祖父の死を機に日本に戻ってきた千景。祖母が経営する画廊には一風変わった仲間たちが集い、そこに図像学の見識を見込まれ千景も巻き込まれてゆく物語。祖父が残した中途半端な遺言。再会した堅物な遠縁の京一と昔から気が合わないと感じている幼馴染の透磨、そして画廊に集まるちょっと胡散臭い仲間たち。依頼解決に巻き込まれてゆく千景が危機を救われたり失われた過去の記憶を少しだけ取り戻したりで、透磨を見る目や印象が変化してゆく描写がとても良かったですね。不器用な二人の今後がどうなってゆくのか続巻が楽しみです。
2016/09/08
志乃
図像学ってほんとにあるのかな?象徴学は好きなので、いろんな象徴の話とか面白かったな。伯爵と妖精シリーズが大好きすぎて、それと比べるとまだ物足りないんだけど、まだ始まったばかりなのでこれからに期待。谷さんってじれったい恋愛模様書かせたら天才的だと思うので、千景と透磨の今後が楽しみ!ちなみに舞台って神戸だよね?異人館と世界一の海峡大橋で特定したんだけど。登場人物標準語だからふんわりさせてるのかな。関西弁小説好きじゃないからありがたいけど。
2014/04/22
ヨミー
初読みの作家さんです。表紙の絵の感じがよく気になってたシリーズ。初めて聞いた図像学を切り口にした美術ミステリー。読みやすくて面白かったです。千景と透磨の甘酸っぱい関係性の進展も気になるところ。主人公と亡き祖父との暗号遊びも面白そう。その他、脇役陣も個性的で良い。次巻や他の谷瑞恵作品も読んでみたい。
2015/08/31
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