シンデレラ迷宮
シンデレラ迷宮 / 感想・レビュー
タカギ
コバルト文庫で出た本の愛蔵版。だったら続編の『シンデレラミステリー』も出してほしいものだけど、劇団キャラメルボックスで舞台化された、という事情もあったらしい(あとがきより)。15歳の利根は、ほとんど記憶のない状態で目を覚ます。不思議の国のアリスのような世界で、奥方、姫、踊り子、王妃と呼ばれる女性たちが次々とやって来る。これは夢だと割り切った利根は、目覚めるまで付き合うことにして彼女たちの国を訪れ、彼女たちの名前、正体、隠された悲しみに触れていく。同時に自分の悲しみも。ノスタルジックってこんな感じ。
2020/09/04
こっぺ
リネ。あまりの懐かしさに涙が出そうだった。初めての恋、初めての失恋に打ちひしがれて夢の世界に逃げ込んできたリネ。そんなリネに比べて王妃様の境遇はあまりに可哀そう過ぎるんじゃぁないの?四面楚歌。敵国に。。。それでもずっと好きだった人のところに嫁いで。国中の皆から疑われて、憎まれて。最愛の人からも憎まれて。本当に本当に可哀そう。オディールもオーロラ姫も、ジェインもリネと比べて、不幸すぎる。それでも王妃様が飛びぬけて可哀そうで可哀そうで。ノーテンキなリネを恨めしくも思う。【図】
2010/09/26
caramel
氷室冴子さんに興味が出て2冊目。読みやすい文体で、不思議要素もあり面白かったです。みんなの感想見てたら、最近は読んでいる人少ないのかな?全部が共感できるわけじゃないけど、少女小説らしい可愛さも感じるし、色んな登場人物が出てきて楽しい。口調とかは少し古さも感じるけど、以前読んだものも同じような口調だったりしたので、これが氷室さんらしさなのかなと思い、時代感も含めて楽しめました。
2021/03/29
CaLiLa
ロミオの性格描写に激しく同意!!ロミジュリの二人はあそこで心中しなかったらこの話に描かれていた様な結末だったと思う。どのキャラクターの話も妙に納得できてびっくりした。白雪姫の父親の台詞「一途に憎む事は楽だ」にはビックリしたけど、リネは多分否定するんだろうな。
2013/02/01
アイリーン子
たまに出る利根のちょっとはすっぱな物言いに若干の古さを感じはしたけれど、物語それ自体は全然古びてなくて面白く読んだ。性格に少しクセがあるのに利根にスルリと感情移入できてしまうところはすごいと思う。利根に限らず氷室作品の主人公に言えることかもしれないな、これは。そしてこの読みやすさ!文章表現に過不足がなくて、程よいユーモアや皮肉、喜怒哀楽、他者への思いやりなどいろんな感情を都度都度読み取ることができて、その上サラサラと読めてしまうこの技術はさすがだと思う。あーもう氷室作品全作文庫で復刊してくんないかなー!
2014/09/09
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