君を忘れる朝がくる。 五人の宿泊客と無愛想な支配人 (集英社オレンジ文庫)
君を忘れる朝がくる。 五人の宿泊客と無愛想な支配人 (集英社オレンジ文庫) / 感想・レビュー
よっち
一晩眠ると消し去りたいと願う記憶が消える部屋があるという噂の湖畔のペンション「レテ」。そこに噂を聞きつけた人々がやってくる連作短編集。寡黙なオーナーの遠野愛文としっかりものの少女・多希、常連客で女流ミステリー作家の丸川千歳。離婚した幼馴染、姉に劣等感を抱く妹、ペットの死を悔やむ少女、明らかになってゆく愛文の過去、そして引き継いだ記憶の結末。確かな愛があったからこそ苦しむそれぞれのエピソードは読んでいて切なくなりましたが、けれどその先に再び紡がれてゆく関係には新たな希望が感じられるとても優しい物語でしたね。
2020/12/14
よっしー
久しぶりの山口さんの本でした。眠ると望んだ記憶が失われるというペンション。失うまでの葛藤も勿論ですが、その周りにいる人の心境を考えるとツラいものがありました。ただ、記憶は忘れても心の奥底に何かしらの形で残るというのは素敵でした。失ったものは取り戻せない、だからこそ安易に考えたらダメなのでしょうが…失ったからこそ前向きに生きていく。それも人間の強さなのでしょうか。切なくも前向きになれるお話でした。
2021/08/06
み
不思議な設定。その部屋で忘れたい記憶を口にして眠ると、翌朝は、花が一輪咲いて記憶は失われる。条件付で、失われた記憶を他人に渡すこともできる。作家さんは、良く考え付きますねぇ、偉大だ^ ^あたしの、忘れたいことは何だろ?
2021/05/16
サクライロ
「たとえどんなにつらい記憶であったとしても。……後になって返してほしいと思ってももう元には戻りませんから」
2022/10/10
あずとも
花々が咲みだれる湖のほとりにひっそり佇む瀟洒なペンション「レテ」を舞台にしたなくしたい辛い思い出を抱えた人々の切なくも優しいお話。
2020/11/22
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