百万光年のちょっと先 (JUMP j BOOKS)
百万光年のちょっと先 (JUMP j BOOKS) / 感想・レビュー
海猫
ショートショート48編。毎話「百万光年のちょっと先、今よりほんの三秒むかし。」という入りから物語が始まる。タイトルどおり気宇壮大な設定のものが多い。ハードSFや発想がぶっ飛んだもの、哲学的な思索があったり叙情的で美しい作品ありで様々。ブラックな作品もあるにはあるが、ですます調の語り口や全ては自動家政婦が坊やに話す寝物語という仕掛けが効いてどれもハッピーなお伽噺を味わったような印象が残る。お気に入りは「害虫駆除業者の甥」「船に恋するクジラ」「見えない泥棒」の3編かな。もっともっと読んでいたい気持ちになった。
2024/09/03
へくとぱすかる
哲学的ファンタジーのショートショート、とでも形容したい。最近の天文学や物理学のあらましをブルーバックスあたりで知っていると、より楽しい。作者もそういう本を愛読しているのかな? そこからうんと自由に想像をふくらませている。48編もあるので、再読するとき、どこから読んでもOK。全編が同じ語りで始まり、「千一夜物語」のような雰囲気(私は未読ですが)。名もなき家政婦ロボットが、シェヘラザードの役割。「彼女」のその後は全部読んでから読もう。未来、未来のお話などと書くと、ヨコジュンのふぁん太じいさんシリーズみたい。
2021/01/26
活字スキー
【百万光年のちょっと先、今よりほんの三秒むかし──】『SFが読みたい!2019年版』の紹介で、以前に楽しませてもらった『ある日、爆弾が落ちてきて』の作者さんだと知ったので。旧式の自動家政婦が語る、少し不思議なショートショートが48編。小さな恋の物語から宇宙の危機までバラエティに富み、キラキラとしたセンスオブワンダーが気持ちのよいものばかり。せっかくなので2~3話ずつゆっくり読ませてもらった。矢吹神によるイラストはごくまっとうなものばかりなので、ハレンチな期待はせぬがよろし。
2019/06/05
yosa
クオリティの安定度が凄まじいSFショートショート。時間のないときにちょっとだけ読みたい欲を満たしてくれるお話がぎっしり詰まっています。私は読書と読書の隙間に何ヶ月かかけて読みましてちっとも退屈しませんでした。全部そこそこに面白い。語り口調が合わない方もいらっしゃるかもしれませんが、手にとって一編でもいいから読んでみて、もしもあなたがそのお話を気に入ってくれたのならば、今すぐにでもこの本をレジに持って行った方がいいと思います。スペクタクルは無いけれど、じっくりゆっくり読める本ってあまり出会いませんから。
2023/12/24
本の蟲
なんて贅沢な本だ。古い自動家政婦が寝物語に語ってくれる48編ものショートショート。宇宙の果てのSF(すこし・不思議なサイエンス・ファンタジー)。3~5ページほどの極短い話ながら、どれも短編どころか長編まで書けそうなアイディアが詰められている。ショートショートにありがちなブラックなオチになることもあるが、語り口のおかげか、印象はどこか優しい。我が家のシェラザードの語りは、いつもこう始まる「そう、あれは…百万光年のちょっと先、今よりほんの三秒むかし――」
2020/01/25
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