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悪への招待状 ―幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ (集英社新書)

悪への招待状 ―幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ (集英社新書)

悪への招待状 ―幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ (集英社新書)

作家
小林恭二
出版社
集英社
発売日
1999-12-01
ISBN
9784087200041
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悪への招待状 ―幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ (集英社新書) / 感想・レビュー

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藤枝梅安

河竹黙阿弥の「三人吉三」をテキストとして、黙阿弥の生きた幕末から明治の江戸の人々の死生観を解説している。黙阿弥の芝居を「運命悲劇」と位置付け、南北の芝居は「性格悲劇」、近松の芝居は「境遇悲劇」と位置付けている点が興味深い。「三人吉三」の根底を流れる、現代人とは違った価値観について語りつつ、当時の役者:小團次や粂三郎、権十郎(後の九代目團十郎)、羽左衛門(後の五代目菊五郎)、初代左團次についてもページを割き、新しいタイプの歌舞伎論となっている。あまり扱われることのない、幕末の一般市民の価値観が見えてくる。

2011/01/26

安南

映画「カビリアの夜」を観ていて思い出したのは黙阿弥歌舞伎「三人吉三廓初買」序盤、金を奪われ川に投げ込まれる娼婦のイメージ…引っ張り出して再読。江戸の芝居小屋へとタイムスリップといった趣向で、歌舞伎だけでなく、着物、料理など江戸の空気をまるごと体感できる、ちょっと変わった歌舞伎論。西洋の「運命」にあたる「因果の理」と黙阿弥戯曲の、ひいては幕末江戸のキーワード「因果の闇」という言葉についての考察が興味深い。

2013/08/16

新平

デカダンスな生き方というのは「人生には大した意味は無い」と悟るのが出発点なんだろう。これに「因果に翻弄される人生は自分の力ではままならぬ」という諦観が加わわれば「宵越しの金は持たない」という幕末の江戸デカダンになるまで後一歩。まちがっても「面白く無き世を面白く」なんてアグレッシブな態度を持ってはいけない。それでは河竹黙阿弥ではなく司馬遼太郎になってしまう。日本とはまた違った顔を持つ幕末の江戸への招待状。

2016/02/28

藤枝梅安

◆河竹黙阿弥の「三人吉三」をテキストとして、黙阿弥の生きた幕末から明治の江戸の人々の死生観を解説している。  黙阿弥の芝居を「運命悲劇」と位置付け、南北の芝居は「性格悲劇」、近松の芝居は「境遇悲劇」と位置付けている点が興味深い。  「三人吉三」の根底を流れる、現代人とは違った価値観について語りつつ、  同時に当時の役者、小團次や粂三郎、権十郎(後の九代目團十郎)、羽左衛門(後の五代目菊五郎)、初代左團次についてもページを割き、新しいタイプの歌舞伎論となっている。

2008/12/19

rouningyou

正直言って、鶴屋南北などは良いと思っていた。江戸の文学も面白いのだろうと思っていた。けれど余りにも知らなかった。黙阿弥、読んでみたい。歌舞伎、見てみたい。著者の書き方がいいのか、知らない世界に踏み込んでしまったようだ。ただ、あまりに作り過ぎた設定に少々白けないでもないが、細部にわたって目の前のことのようにわかりやすく説明してくれる丁寧さは、この筆者のほかの著書も読んでみたい気にさせる。

2012/02/19

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