芸術立国論 (集英社新書)
芸術立国論 (集英社新書) / 感想・レビュー
常磐条
大きな国家的目標を失い、個人の価値観で生き方を決定しなければならない時代における芸術の必要性についての、厳しくも気ままなアートマネジメント論考。基本的人権に表現された「健康で“文化的な”最低限どの生活」が、今(2001年当時)の日本、とくに地方においては達成されていないのではないかという問題点に立ち、トップダウンの文化行政とボトムアップの市民参加の間に達成される「芸術の公共性」が広く認められるには、未だ至っていないですね。。『芸術保険による個人の3割負担』が実現されたらどれだけいいことか(笑)。
2015/12/24
ミツ
芸術の中でも著者の専門である演劇を主に扱う。劇場の運営や地域との交流、演劇の公教育への取り入れなど、文化行政、ひいては芸術と社会とのかかわりについて「芸術の公共性」という言葉を軸に語る。著者自身も述べているとおり妄想の域を出ない主張や、単なる説教まがいの論もあるが、実際に第一線で活動している芸術家からの提言としては興味深かった。特に劇団、劇場など採算性をある程度度外視しないといけない文化事業の運営を具体的に学ぶ“アートマネジメント”なる学問分野は今後の芸術の在り方を考える上で大事かもしれない。
2012/06/17
チエコ
8月1冊目。芸術と社会の接点、芸術と行政や市場との関係などを、どう考えればいいのかずっと悩んできた私にとって、多少なりとも示唆を与えてくれる本でした。芸術はいつも小さき者から発信される。著者と同じように、芸術が、電気や水道のように、人々にとってインフラのような存在になればいいのにと思いました。それはどうなの?という部分はあれど、良書です。
2013/08/06
takao
ふむ
2023/12/12
TOMYTOMY
芸術の軽視は激しく、ハイカルチャーもサブカルチャーも悪い意味でぐちゃぐちゃな日本。 やはり受け取る側だけじゃない、与えやすいように国を上げなければ水準は下がる一方。 効率化や実践的という言葉が何で好きなのか、もはや分からない。この先進国で。
2018/05/20
感想・レビューをもっと見る