妖怪と怨霊の日本史 (集英社新書)
妖怪と怨霊の日本史 (集英社新書) / 感想・レビュー
GaGa
権力闘争の末、敗れたものたちを妖怪や怨霊として祀っていたことが良く判る。妖怪=民俗学ですね。妖怪と幽霊を分けて考えるのは明治政府以降であるというのは少し驚いた。
2010/08/30
藤月はな(灯れ松明の火)
発表の参考資料として読みました。妖怪ではなく、怨霊と貴族社会の関係性や物の怪がなぜ、登場したのかなどについて説いた評論。高田崇史氏のQEDシリーズで御馴染みの事実の再確認でした。また、多くの民話などを参考にしているために知らない話もあり、興味深かったです。歴史にはできれば百物語や怪談、鳥山石燕などの妖怪絵師や妖怪の浮世絵が流行していた江戸時代のことも触れてほしかったです。
2011/06/21
クナコ
初読。夏なのでとタイトル買いした。妖怪と怨霊の〜とあったので水木しげる的な妖怪たちの原典や時代背景などの内容かと思っていたら違った。日本における創世神話〜室町時代くらいまでの歴史に記された異形や死者の祟りなどについての記述考察の本だった。本文の半分以上は天皇・皇室系統についての歴史。本書は「歴史は構成を統べる者が都合よく書き残す」ということを踏まえて語られるので、登場する異形たちの特徴や事跡よりも、なぜそれらが書物に残されているのか、なぜその時代に現れたのか、というところを詳しく解説している。
2022/08/24
寝落ち6段
太古から人類は、人智の及ばないものに恐れを抱いていた。そのしょうたいを「もの」と呼び、中国から来た漢字「鬼」を充てた。その「鬼」を調伏することが、実力者の証であり、崇められる存在であった。さらに、神をも使役することでその箔をつけるようになる。そのような権力争いの中で、相手を追い落としたことで、もしかしたら恨まれているかも、という恐怖を抱く。そこで、怨霊が登場する。このように、日本史に潜む心理を妖怪や怨霊という面からみていったときに、自然への畏怖から人心への疑心へと社会の観点が移る面を見ることができる。
2022/03/09
miroku
正史がポジならば、怨霊や妖怪の歴史はネガ。 なるほど、そうかも知れない。
2010/11/05
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