陰陽師 ―安倍晴明の末裔たち (集英社新書)
陰陽師 ―安倍晴明の末裔たち (集英社新書) / 感想・レビュー
SOHSA
《譲受本》幻想文学、神秘学研究者であり作家である荒俣宏氏による陰陽師末裔に関する研究本・エッセイ。陰陽師というと式神を巧みに操る貴公子安倍晴明をイメージしがちだが、明治の廃仏毀釈の難を逃れた民間陰陽師の姿は大きく異なり、風土記や土着神話、民俗学とも相俟ってなかなかに興味深い。形式のみが現代に残り真意が忘れられた祭事は多いが、改めてそれを掘り起こし掘り下げていくことは日本文化や日本人の源流に至る研究にも繋がる。本書は何より読んでいて楽しい。過去は時とともに消えゆく。だからこそその探究は人をわくわくさせる。
2018/01/03
岡本匠
安倍晴明の後に、陰陽師達はどうなったのか?現代にはもういないのか?荒俣宏ならではの、調査力で追い求めてゆく。 そう言えば、荒俣宏は最近本を書いていないのでは?
2016/05/23
月をみるもの
官から見捨てられた「博士」たちが、民間/地方での活躍の場をどう見つけて行くか、、、、と言うケーススタディーがすでに1000年前に行われていたのですね。。。
2018/08/12
二笑亭
平安京のゴーストバスター安倍晴明についてではなく、陰陽師のその後についてのフィールドワーク。明治政府の神仏分離令・廃仏毀釈によって失業の憂き目にあった中央の陰陽師(いわば官僚)と、現地の信仰や修験道などとも合流しながらも戦後まで生き長らえた民間陰陽師たちの明暗が面白い。岡山の上原大夫の“前申し”は京極夏彦『魍魎の匣』に登場する御筥様のやり方に似ている。高知のいざなぎ流が今も命脈を保っているのは、大夫たちの柔軟性に拠るものだというのに感服。
2022/11/12
SAT(M)
軽いルポ的な内容かと思って読み始めたのですが、がっつりアカデミックな内容で、面食らったまま読了しました。宮廷の陰陽師とはまた別の、今なお存在する民間の「陰陽師」についてスポットライトが当てられた一冊です。貴族政治における血なまぐさい権謀術数の黒幕としての陰陽師ではなく、村落の民衆の心のよりどころとなる、素朴な「陰陽師」像をここに見ることができます。
2015/08/23
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