樋口一葉「いやだ!」と云ふ (集英社新書)
樋口一葉「いやだ!」と云ふ (集英社新書) / 感想・レビュー
佐島楓
一葉というひとは、明治期に生きたからこそ作品の数々を書けたのだろう。江戸と地続きのこの時代の特殊性、変化していく価値観が存在したからこその作家だったのだろう。
2016/08/13
detu
たけくらべ、大つごもりしか読んでいないし、殆ど分からなかった。それが証拠に内容もあやふや。でもなぜか気になる樋口一葉、と言うか明治大正の女性に興味がわくのかも。優子さん、政治学者かと思っていたら文学者でした。本書、実に奥深く改めて一葉に興味抱かせる。作品の悉くに「嫌だ、厭だ」が出てくると。ここに一葉の生活と時代背景を思わなければならないと。確かに時代は維新から二十年余ほどしか過ぎていない。今の時代とは大違いだし。優子先生ならではの考察は面白いと思った。これを踏まえた上で改めて一葉を読んでみたいと思う。
2021/01/28
きいち
「江戸の想像力」の田中優子が、一人の生き抜く人として自分自身を重ね合わせて一葉の作品と生き様を辿ってくれる。妻でも母でも妾でも教師でもなくただ逃げずに立ち向かった一葉がただただ魅力的。考えてみたら大人になってからちゃんと読んだことがない。古文は苦手だけれど、とにかく読んでみなければ。・・・それにしても、こんなに金に困ってた一葉がお札になるとは、なんて皮肉な。
2012/02/16
Gen Kato
「今日でもなお、師弟関係を『男女関係』としてしか理解せず、そのような噂を流す人々がたくさんいる。このような人々は、戦前までの価値観や感性しか持ち合わせないか、あるいは、自分自身が常に、異性を性の対象としてしか見てないかどちらかだ」……ここ、「仕事上の関係」も含めて、本当にそうですね。そういう鬱陶しい人たち、男女を問わずいます。続く作者の言葉が痛烈。「他人の性の話が、自分の貧しい性の感覚を突き動かし、一時的にせよ活性化するからかもしれない。これはポルノや春本の機能と同じである」。
2015/06/29
るうるう
樋口一葉の作品はまだ読んだことがない。だが、女流文学者の草分けなのでその人生には一定の関心があった。本書は代表作を解説しながら、一葉の意外な一面を紹介していく。面白いのは、結婚もイヤ、富や地位にも興味がない、養わねばならない家族さえいなければ漂白の歌人になってのたれ死にたい、と言っていることで、これはぜひ日記も読まねばなるまい。一葉の母親はいまでいう毒母で、妹も依存的。一葉自身も周囲の人間から金を無心して生活し、返す気もないようだ。お札の顔としては不適格のようにも(そういや野口も・・・)。
2017/08/01
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