人はなぜ憎しみを抱くのか (集英社新書)
人はなぜ憎しみを抱くのか (集英社新書) / 感想・レビュー
tomagla
育ち盛りの子供がいて、コロナが蔓延しているタイミングで読んだこともあり、身につまされる内容だった。子供は親の行動の裏に隠された弱さを感じ取りながらも、親が「自分はこうだ」と見せたがっている姿を受け入れるしかない。この体験のせいで、成人してからも本当の感情を表現する人がいると、不安を覚え、受け入れられなくなる。社会に大きな変化が生じてくると、かつての犠牲者、自らに向けられた昔からの憎しみ、すなわち「自分の中の他人」にたいする憎しみが、自分の外にある見知らぬもののすべてに向けられる。
2020/05/06
きくえ
子どもは親から大事にされると親切になるし、大事にされないと傷つけたり憎しみをもった行動をとる。って最近読んでる日本の育児書と同じ考え方の本、なんだけど、作者がドイツの人なのでナチスの話がとても多い。そして例としてでてくるドイツの子育ては虐待って意味じゃなくて躾の考え方が厳しいな、と思ったり。って、この本は育児書ではないけど。
2012/06/07
よぞ
インタビュー形式で文章も平易だが、内容を理解するのは難しい。人が憎しみを抱く原因が親や学校から受ける一般的な教育そのものに内在されているからだ。そして成功している人ほど疑問を抱かず問題が盲点になるのであれば、社会の枠組みの中で解決していくことはほとんど不可能だろう。本書で言われているように負け組でいいので狂ったゲームからは距離をおいて自分らしく生きることぐらいしかできることはない。そういう人間が一人でも多くなればそれは希望になるかもしれない。
2019/01/07
loro
まさかのインタビュー形式。 我慢を強いられたり認められなかったりすると、憎しみを抱くようになる、というのは理解できる。 見せかけを築く人の話は、人の内情を暴く類のもののようで中々読めない内容だと思う。 後半はヒトラーの話と倫理観も混ざって、社会規模の大きさについてけない感じ。もうちょっと人の機微、細部をじわじわと書いてくれてたら、好きな本になってたかも。
2014/03/30
スタビライザー
人が憎しみを抱くのは、「自分の中の他人」が主な元凶。そいつが憎しみの原因となる。高圧的で抑圧的な親子関係や学校での教師との関係、もしくは上司との関係でも生じる。ただ、幼年期の親の接し方に問題があると発声しやすいことには変わりが無い。彼らは、子どもにも自分たちと同じように考え感じ、痛みを知る存在だということをどこかで失念しているのかもしれない。子どもの存在を通して、自分と対面するのが怖いのもあるが。いずれにせよ、自分を救えない者は誰も救えないという言葉の意味が分かった気がした。
2010/02/15
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