奇妙な情熱にかられて ―ミニチュア、境界線、贋物、蒐集 (集英社新書)
奇妙な情熱にかられて ―ミニチュア、境界線、贋物、蒐集 (集英社新書) / 感想・レビュー
おいしゃん
副題にあるとおり、ミニチュア・境界線・贋作・蒐集といった、マニアックなことやB級なものに目がない自分のためのような本。ただそれぞれのテーマを熱く語るわけでもなく、精神科医師からの知見で深掘りするわけでもなく、中途半端なコラム的になっている感があった。
2021/12/03
misui
再読。人が世界にリアリティを与えるやり方、生きている手応えを感じるための、だが他人からすればささやかで奇妙にも見えるそれを徒然に語る。「なぜか気になるもの」を追求すると硬直化した世界の皮膜がぺらりとめくれて実相が立ち上がってくるという、そんな例が集められていて、読む度に胸を打たれる。斜に構えているようでとてつもない切実さを持つ一冊だと思う。
2015/03/15
ebi_m
この人の著作を読むたびにその感性を好きだと感じるが、新書がこういうものを発表する媒体なのかは若干謎。まさに肌色の自動車のような新書。
2009/01/01
dilettante_k
洋酒の小瓶、都区の境界、野球盤にトイレットペーパーの包装紙から立ち現れるリアリティー。著者の身の回りの経験や精神科医としての知見を踏まえ、一見して些末なモノや体験が一転して真実性を帯び、偏愛を呼び込む感覚の源泉を探るエッセイ。4つのテーマに則したいくつものエピソードが著者の思考をなぞり、真実性が「言葉」と「時間」に依拠することを解き明かす。コレクターは(著者自身も含めて)不完全な強迫神経症者だが、著者はそれを外界に向き合う人間の仕組みとして否定しない。日常的な奇想のありかを淡々とした語り口でつづる好著。
2014/07/09
魔魔男爵
奇妙な物を蒐集する奇想を論考し生活感のリアリティを高らかに謳う人間賛歌の傑作。ダビンチのモナリザよりコルゲンコーワの店頭人形の方に熱いメッセージを感じる人達が存在する意義を照射する芸術論人間論の傑作。健全な人間よりキ○ガイの方が奥深くて面白いという視点に共感。本書で春日先生は自動車運転免許を持ってない事を告白しておられるが、春日先生は古臭いジェンダー観を超越している素晴しい人である。俺は人々を救うお医者様だと偉ぶらずに、B級の存在、マイナリティへの愛が溢れる春日先生の生きる姿勢は素晴しい。私の理想の人物だ
2012/09/30
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