KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

小説家が読むドストエフスキー (集英社新書)

小説家が読むドストエフスキー (集英社新書)

小説家が読むドストエフスキー (集英社新書)

作家
加賀乙彦
出版社
集英社
発売日
2006-01-17
ISBN
9784087203257
amazonで購入する

小説家が読むドストエフスキー (集英社新書) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ネギっ子gen

『宣告』を愛読した者として、本書はかつて発売時に速攻購入した。著者を偲んで、再読――。「あとがき」<ドストエフスキーが小説に仕掛けた謎や隠れた構造を、小説家としての自分の目で読み解こうとした。とくにこの作者の宗教的な主題に光を当てようとしたのは、私の好みである。従来、ドストエフスキーを宗教抜きで、近代的自我の分析や心理解析だけで読もうとする傾向が日本ではあるが、私はあえて、そういう傾向には反対して、彼を宗教小説家としても読み込もうとした>。遠藤周作と同じくカトリック小説家である著者らしいと思った次第。

2023/01/18

しゃん

加賀さんがドストエフスキーをどのように読むのか、興味があって読んでみた。本書は、『死の家の記録』、『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』について、加賀さんがカルチャーセンターで行った講義録を編集したものとなっている。そのため、語り口調で分かりやすく、非常に読みやすかった。『死の家の記録』以外は実際に読んでいたので、いろいろな気づきがあった。面白かったのは人物の描き方。ドストエフスキーは、矛盾したものが一人の人間の中に共存しているように描くとの指摘(P.128)はなるほどと思った。

2018/10/05

そのじつ

面白かった。亀山郁夫、山城むつみに 続き3冊目のドストエフスキー解説書(あ山城はまだ途中だった)。カルチャースクールでの講演をもとにした本なので話口調でとても読みやすい。そして著者は精神科医でありキリスト者であるがゆえの見方や分析がとても興味深い。癲癇という病の特質から見た、癲癇であるがゆえのドストエフスキーの特質を上げているところなど面白すぎてノートに書き写した。ラザロの復活、ゾシマとミーチャ、チーホンとスタブローギンなど己の関心の高い部分への言及も多く面白く読んだ。

2021/08/05

武井 康則

加賀乙彦がカルチャーセンターで行った講義をまとめたもの。著者の、医者、作家、クリスチャンとしての属性から、癲癇という病気、小説の組み立て、キャラクターの分析、そして信仰を後期の長編、「死の家の記録」「罪と罰」「白痴」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」ごとに解説していく。全集を何度も読み返し、関連書籍にも目を通しているだけあって、説得力がある。口演なので必ずしも論理的でなく、深い掘り下げがないが、入門としてはかっこうかもしれない。特に宗教については他にあまりなく貴重な意見だ。

2021/12/23

踊る猫

四大長編に挑む下準備というか予習のつもりで手に取ったのだけれど、確かに「小説家が読む」というタイトルが示すように実作者として、つまり自分ならこう書くというような事柄が所々に挟まれて、不勉強にして加賀氏の作品は読んだことがないのだけれど面白く読めた。氏がキリスト教に通暁しているところやミハイル・バフチンに代表される重要な研究/批評を踏まえて語っているところも読み逃せない。やはりこうした書物はドストエフスキーを読んだ上で語るべきだろうから、そのあたり不勉強を恥じさせられた。非常に読みやすくタメになる一冊である

2016/08/22

感想・レビューをもっと見る