在日一世の記憶 (集英社新書)
在日一世の記憶 (集英社新書) / 感想・レビュー
夜間飛行
52人の談話。国での貧しさや日本人の搾取、解放後の四三事件や朝鮮戦争などの証言もある。渡日してからの衣食住や教育の苦労、差別、弾圧…どれも今聴けてよかった。手を合わせて拝みたくなるような苦労話もある。当時の日本に朝鮮の方々を使い捨てにする状況があったことは否めない。中には奴隷のような話もあるが、逃亡を助ける日本人がいたことが救いだ。日本人への不信感を持って当たり前だが、よい日本人もいた。思いは複雑だろう。戦前から戦後の記憶が消えつつある今、こうした記録は貴重だ。内容は重たいが、決して辛い読書ではなかった。
2021/03/21
ばんだねいっぺい
在日二世と在日一世では、やはり、変わってくるところはあるんだなと思った。何を食べてきたか、どんな音楽を聴いてきたかなど、もう少し文化的な面を深く知りたかったなとの思いもある。
2017/05/16
HIROMI S.
「在日」と一言では語れない、日本に来た経緯も、日本での生き方も、思想も、それぞれに違う52人へのインタビューをまとめた一冊。日本の敗戦で万歳とはならない、分断された故国との間で、翻弄され苦労しながらも必死に生きてきた歴史だ。自分が、隣の国なのに韓国の歴史や地理を全然知らないことにも唖然とした。済州島で多くの市民が虐殺された四・三事件など、この本を読むまで全然知らなかった。単純に北出身の人は朝連、南出身の人は民団と思っていた自分の浅はかさよ。
2018/05/18
二人娘の父
めちゃくちゃ分厚い新書が得意な集英社。でもこれはずば抜けて厚い。やっと読了。内容は在日コリアン一世のオーラルヒストリー。聴き取った時期からいってこの世代の聴き取りは文字通り最後の機会であったことは想像がつく。きわめて史料的価値の高い記録である。戦後から10年ほどの混乱期の共産党との関係など興味深い話も多く時間をかけて読んだ価値のあるものだった。
2022/06/25
BLACK無糖好き
コンパクトな新書サイズでありながら7百ページを超える分厚さ、この中に、民族受難の歴史を異国で生き抜いてきた在日韓国・朝鮮人一世 52人の壮絶で濃厚な生き様が詰め込まれている。中でも印象に残った人は北朝鮮在住被爆者の救援活動を推進している李実根さん。広島・長崎の原爆投下時多くの在日一世も被曝した。被曝後韓国に移り住んだ被爆者は日本政府や赤十字から治療費等の補償が受けられるが、北朝鮮へ移住した被爆者には一切補償は無い、この根の深い問題に一心に取り組む姿勢に心動かされます。
2015/04/10
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