田辺聖子の人生あまから川柳 (集英社新書)
田辺聖子の人生あまから川柳 (集英社新書) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
田辺聖子さんが選んだ川柳百句に軽妙な解説を付けたもの。川柳をまとめて読むのは初めての経験だったが、面白かった。読んでいて、思わず吹き出してしまった句も多い。川柳の可笑しさは軽薄なものではなく、人生の機微を踏まえたものだと思う。その意味で田辺さんの小説とよく似ている。一番好きな句は「あの時の恋は良かった角砂糖」、一番笑った句は「命まで賭けた女てこれかいな」
2015/01/04
アオイトリ
読メのレビューより)川柳の世界に触れてみる。人の世の悲喜こもごもを笑ってなんとかやっていこう、というおせいさんの処世訓もあたたかい。どれも秀句。なにかの折にふと口をついて出るというのが、文化だなあと思うのだけれど。「やかましゅう言うなと牛は歩き出し」(夢路)「なんぼでもあるぞと滝の水は落ち」(伍健)「このご恩は忘れませんと寄りつかず」(佳凡)
2022/06/27
カタコッタ
田辺聖子先生の大好きな川柳。解説もフワリとして心地良い。選ばれた川柳も笑えて泣けてしみじみと良い。関西弁の奥深さ、川柳で読むと良いですね。読み始めたら止まりませんでした。川柳にハマりそうです。
2022/06/14
剛腕伝説
田辺聖子選、川柳作家の川柳集。 それぞれの作品に田辺聖子の解説がなされており、それを読むと作品の妙味がより深くなる。 動物、浮世、とほほな人生、女、男、家族、夫婦という項目に分かれており、私は家族の項、それも子供に関する作品に惹かれた。 「初産にそのくっしゃみを可笑しがり」・「みどり子の欠伸の口の美しき」・「手をあげて眠るこどもにそつと秋」・「叱られて寝る子が閉めてゆく襖」・「やさしうにいへば子供は泣き直し」。 子育ての楽しかったあの頃を思い出す。番外編で「命まで賭けた女てこれかいな」、そうですこれです。
2021/08/03
うらなり
命まで賭けた女てこれかいな(松枝梅里) これほどの腹立ちを女<堪忍え>(馬場録天) とい2首がよかった。堪忍え というのは京都弁で このしれっとした感じが男の追及をさせない力があるそうで、堪忍ね とか 堪忍やで などの 東京、大阪言葉では 女性側が非を認めたことになり、追求をうける。たった一語の違いを楽しむという川柳という文化は素晴らしい。
2020/06/19
感想・レビューをもっと見る